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15. サッパリわかりません
しおりを挟む気がついたら見知らぬ部屋に来ています。
周りの人達も驚き過ぎているためか固まってしまっていて…状況が読めません。
「あの…神様…ここはどこなのでしょうか?」
一番知っているであろう方にお聞きします。
「どこって…ここは君の両親が住んでいる所だよ」
抱きかかえていた私を下ろしながらに笑顔で私を見つめます。
「両親…?」
私は物心ついた時には1人でしたので両親という方にお会いした事は一度もありません。
両親とはどんな方なのでしょうか?
「え…またそこからなの?え~と、君をこの世に誕生させてくれた人達だよ」
「あ、それは知っています。ただ…お顔を見たことが無いのでどんな人なのかは知らないのです」
「あっ、そっちか…。君の両親はね…」
神様が部屋をぐるりと見回して私の両親を探してくれているみたいです。
「いたいた!ほら、あの人達がそうだよ」
神様が指を指された方向には一段高い台におかれた豪華な椅子に座るお二人がいました。
1人は顔を手で覆って泣いているみたいに見えます。それを隣にいる人が慰めているようです。
「あの人達…ですか」
確かに泣いている人は私と似た髪の色をしています、慰めている人は私と同じ瞳の色の様です。
ですが…。
「父上!母上!」
静かな部屋に大きな声を出しながら乱暴に扉を開けて少年が入ってきました。
少年は私と同じ髪色と瞳で…私とよく似た顔立ちをしています。年は私より少し若い感じがしますね。
「あの少年はアクアの弟だよ。え~と、アクアの家族の1人だ」
「私の家族…」
入ってきた少年は私達を見て物凄く驚いた表情をして動きを止めてしまいました。
「え…姉上…?」
少年は私を姉上と言っているみたいです。
「生け贄様!?」
少年を追いかけるように部屋に飛び込んできた人物が私を見て大声をあげます。それは、私の知る数少ない人でした。
私の事を見て驚いていのは…私に音楽を教えてくれていた先生でした。
「先生…」
先生はゆっくりと私達に近づいてきます。目に一杯の涙をためて…。
「ど…どうして…生け贄様が…ここに…。生きていらっしゃったのですね…」
私はチラリと神様を見ました。
私は生きている…と言ってもよろしいのでしょうか?
「あっ、その事は私が説明をするよ。私がアクア…この娘を神の花嫁としてもらい受けるから。心配はいらないよ」
神様が私の両親といった人達の方を向いて話していますが…花嫁?恋人ではなく?いつの間に名称変更しましたか?
「花嫁…。生け贄様は…幸せになれるのですね…良かった」
音楽の先生が目にためていた涙をポロポロとこぼしながら喜んでくれている様子です。
「今日は報告に来ただけだ。驚かせて悪かった。じゃあ、帰るよアクア」
「え…」
神様がまた私を抱き抱えて指を鳴らします。
今度は見慣れた天界にある私の部屋に戻ってきました。
え~と、何をしに人間界に行っていたのでしょうか?
何だかサッパリ私には理解ができませんでした。
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