生け贄様はハッピーエンドを御所望です

7. 神様暴走してます (神様視点)

　最近のアクアの様子が少しおかしい。

　何だかしきりに自分の身体を揉んでいるのだ。

　本人に何をしているのか？と尋ねても「神様は楽しみにしておいてください」と答えるだけで、何も教えてくれない。

　どこか身体が痛くて自分でマッサージをしているのではないかと心配なのだか…。

　それに…「神様…私はいつでもかまいません。心の準備はできております」と、夜に私と別れる時に顔を赤くしながら必ず私の手を自分の両手で強くにぎり、熱い視線で見つめてくる…。

　あれは…どういうつもりなのだ？

　私を…神を誘っているのか？

　こちらに来てからアクアはよく食べる様になり、体型も少しふっくらとしてきて、女性らしい身体の曲線が服の上からでもわかるようになってきている。

　もしかしてアクアは私に女性として愛されたいと望んでいるのだろうか…。
　

　私もアクアのことは嫌いではない…というか好ましいと思ってはいるが…。

　あの無垢な魂がそんな事を考えるのだろうか？

　はっ！

　もしかして…神への生け贄として育てられたと言っていたが、その時に神を誘う教育を受けたのかもしれない！

　昔の神々の中には乙女を求めて人間界に姿を見せて、乙女を拐っていた神もいたからな…。

　人間達が神が色事を好むと勘違いをしていてもおかしくはないな。

　アクアは純粋に生け贄としての役目を果たそうと必死なのかもしれない…。

　願いを叶えてやる方が幸せなのか…。

　…叶えてやる方が幸せなのかもしれないな。

　待たせていると、アクアは自分は生け贄として仕事をしていないと思い、悩むかもしれない。

　それは可哀想だ。

　ここはやはり実行するしかない。

　そうと決まれば準備をするとしよう。

　人間は雰囲気というものを大事にするしな。まずは寝室を見直そう。ベッドをダブルサイズていや、もっと大きなベッドに変更しよう。

　寝具もアクアの身体を考えて柔らかな素材のものにして、布団も軽いものにしてしまおう。

　部屋全体を模様替えだ。

　アクアに喜んでもらえる様に変えてしまえば良いだろう。

　お風呂も2人で入れる様なものに変えないといけないな。ジャグジーも良いし、浴室にアロマキャンドルを置いて雰囲気を出すのもありだな。

　薫りは何が良いだろうか…。

　フフッ…こうやとて考えるのも楽しいものだ。

　アクアの喜んでくれる顔を思い浮かべるだけで笑みがこぼれる。

　…アクア…君はどんな顔を見せてくれるのだろうか。