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76. シャルルの未来
しおりを挟むエルル様…私の異母兄から母さんに手紙がきた。
内容は母さんが教えてくれた。
私の実父がアルダール国にやって来るので、その時に私に会えないかというものだった。
「シャルルはどうしたい?」
私、私は…。
「…会ってみたいかな」
「そう…じゃあ、その準備をするわね」
母さんは何とも言えない表情をしている。
「姉さん…」
アロムが私の服の端をひっぱってこそっと、話しかけてきた。
「何…どうしたの?」
アロムが手招きしてこっちにこいと外に呼ばれた。
2人とも外に出た所でアロムが真剣な顔で話し出した。
「母さん達が話していたのを偶然…偶然だよ、聞いたんだけど…姉さんの事を話してたんだよ」
「私の事って何?」
「姉さんが向こうの国に行くんじゃないかって話しだよ…」
「私が!何で?」
「だって…姉さんはお姫様だったんだよね…わかってしまえば国で御披露目しないといけないだろうからって…」
「…そんな事、考えてなかった」
「姉さんらしいな…でも、考えとかないといけないと思うよ。マウル様と結婚するにはお姫様の方がすんなりいくだろうし…」
「そうか…ありがとうアロム、教えてくれて…考えてみるよ」
それで母さんのさっきの表情だったのかな…。
でも、本当に考えないといけないよね。
でも、私はお姫様になりたいわけでもないんだよね。
まあ、異世界転生したことに気がついた始めの頃は…何で普通の村人なんだ?って言ってたけど…。
ある意味…女神様が私の願いを叶えてくれていたわけだよね。
実はお姫様だったり、イケメンと恋愛できたり…。
今でも、幸せすぎて怖いのに…。
これ以上は、贅沢というか…。
お父さんには会ってみたい…だけど…。
でも、この考え方が贅沢なのかな?
私はお姫様として産まれて、知らなかったとはいえ、周りに守られて生きてきた…。
その恩返しをしないまま、自分だけが幸せになって良いものだろうか…。
私は自分のやるべき事をやっていないよね。
私は王様と会って先の事をきっちりと話さなければいけないのかもしれない。
ただ会うだけでは駄目なんだ…。
私がこの異世界に転生してやるべき事…。
それを今からやっていけば良いのかな…。
よし…まずはマウルにお手紙をだそう。
マウルにも理解してもらっておかないとね。
愛するマウル様
拝啓、如何お過ごしでしょうか。
私は今度、ロンダールの王様とお会いすることにしました。
そこで考えたのですが、結婚は少し待っていただけませんか。
私はロンダール国で自分のやるべき事をやって私を今まで助けてきてくれた人々に恩返しがしたいのです。
それが終わったらロンダール国の姫としてマウル様の元に嫁ぎたいと思っているのです。
何年後になるかはわかりませんが、待っててくださいますか?
良いお返事をお待ちしております。
シャルル
これも、速達伝書鳩で送ろう。
女神様、これで良いんですよね…。
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