上 下
160 / 169

2-39 絶対嫌だ~!

しおりを挟む

「はぁ~」

 やっとヴァン様のお説教が終了しました。その間に教皇は椅子に魔力を奪われたのか大人しくなってしまいました。僕も大人しくなったけどね…。

「溜め息をつくなんて、まだ私の話が必要なのか?」

「いえ!大丈夫です!!」

 ヴァン様に睨まれて背筋を正した僕はすぐに元気良く返答した。もう、お話は暫く聞きたくありません。話をそらさないと!

「…ところで、これからどうするつもりなんですか?」

 教皇の力を奪っただけでは解決にはならないよね。

「コイツが隠している魔力のボールを探しだして全て壊す必要がある。それと魔王の居場所を突き止める」

「へ?魔王の居場所…。まだ魔王は復活していないですよね」

 また、ヴァン様が変な事を言い出したよ!この人達は魔王を復活させるために動いていたはずだよね。

「おそらくだが…ここまでの事を考えると魔王は実体を持っていないだけでコイツらに指令を出すことはできるくらいの力を持っていると考えている。実体を持つために教会を使って力を集めていたんだろう」

「え!そ、そんな…」

 それって一大事だよね!事件だよね!!大変だよね~!!!

 ど、どうするんだ~!

「ま、魔王復活…」

 僕は、直接会ったこともないし、見たこともないけど本などで魔王がどんな人物なのかは勉強している。

 本で読んでいた魔王なら復活してしまうとこの国…いや、全世界が終わるんじゃないの?そんな恐ろしい魔王にもしかしてヴァン様は戦いを挑むつもりなのか?

「い、いや無理。無理でしょ!いくらヴァン様でも相手は魔王ですよ?死にますよ!」

 どう考えても無傷は考えられない。

「…戦う前から無理だと決めつけるな!本当に我が子孫ながら情けない…。ここで魔王を封印しないと皆が死ぬかもしれないんだぞ?お前はそれでも良いのか!?大切な家族や友人が全て居なくなっても良いのか!?」

 それは嫌だけど…。魔王と戦うのも嫌だ。

「……嫌です」

 チラリとヴァン様を見ると、いつの間にか子供の姿からいつもの姿に戻っていた。

「私だって本当はこんな面倒な事に関わりたくはないが、ここまで来たらやるしかないのだ。若いお前に無理強いはしない。だが、私一人では無理だから手伝いをしてほしいのだ」

 ヴァン様は僕の両肩に手をおいて説得するように話しかけている。

 そっか…ヴァン様だって本当は嫌なんだな。それなのに一人でやろうとしてくれているのか…。

「わかり…」

 僕が「わかりました」と言おうとした言葉を遮るように意識の無かった教皇が大声をあげて笑いだした。

「ハハハハハッ!!!面白い…おもしろいぞ!!」

 あれ?声が違う?

 ヴァン様が僕を教皇から隠すように立ちふさがった。




 
しおりを挟む
感想 149

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

私の部屋で兄と不倫相手の女が寝ていた。

ほったげな
恋愛
私が家に帰ってきたら、私の部屋のベッドで兄と不倫相手の女が寝ていた。私は不倫の証拠を見つけ、両親と兄嫁に話すと…?!

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...