上 下
34 / 169

34. 再会

しおりを挟む


 ブラッディーボールならぬブラックボールの契約者になってしまったことで悩みが増えちゃったよ。

 ヴァン様に何て言おうかな…。

 …ん?待てよ。

 そう言えば昔…感情がたかぶれば新しいブラッディーボールができるって言ってたよね。

 確かにヴァン様とケンカをしたり両親に叱られたりした後だったから感情がたかぶっていたかも…。

 あの時のヴァン様は嘘を言っていた訳ではなかったんだ…。

 そうなると、今回も先を見越してヴァン様が僕のためにやってくれたと考えた方が良いのかもしれない。

 それに…ブラッディーボールの事を考えていたら思い出したけど、ヴァン様がアリナさんの先祖と契約した時のブラッディーボールがあるはずだよね?

 今、僕が持っているのはアリナさんと僕が契約した事によってできたブラッディーボール(ブラックボール)だ。ヴァン様が本当に手に入れたいのは昔のヴァン様のブラッディーボールのはず…。

 もう一度アリナさんに会いに行ってみようかな。

 僕は早い方が良いと思い、マントを着けてアリナさんの元に向かった。

 あれ?今日も窓が開いている…。

 僕は窓を叩きアリナさんに呼びかけた。

「アリナさん、起きてますか?ヴァンデです」

 部屋の中からガタッと音がして窓辺にアリナさんが姿を見せてくれた。

「ヴァンデ様…お待ちしてましたわ!」

 以前、会った時よりも肌艶や良いし、髪も月光でキラキラと輝いて見えるくらい綺麗になっていた。

 …これって契約の力?

「やっと来てくださったのですね」

 アリナさんが両手を顔の下で組んで僕の事をキラキラとした眼差しで見つめている。

 え…と、どうしたのかな?

「あの…少し聞きたい事があって…」

「何でも聞いてください!」

 レスポンス早!

「え…と、アリナさんのご先祖様から伝わるブラッディーボールって知ってますか?」

「ええ、これのことですよね」

 そう言いながらアリナさんは髪をかきあげて耳元を見せてきた。え?もしかして…。

「このピアスがブラッディーボールですわ。必ず身につけておくようにと言われていたのでピアスにしたと聞いてます」

 ブラッディーボールをピアスにしたんだ…。

 色を見てみるとやっぱり僕のとも色が少し違っているように見える。やっぱりもう少し調べたいな。

「そのブラッディーボールを見せてもらえませんか?」

 一族の宝だろうからダメかもしれないけど、聞くくらいは大丈夫だよね。

「ヴァンデ様の頼みなら何でもオッケーですわ。どうぞ…」

 アリナさんは躊躇うこと無く耳からピアスをはずして僕に渡してくれたけど…本当に良いのかな。

 チラリととアリナさんの顔を見たけど、ものすごい笑顔で見ているし…大丈夫みたい。

 よし…じゃあ、調べてみよう。

 僕はブラックボールを取り出して、アリナさんのブラッディーボールを鑑定してみた。

 すると…。

「これは…」

 鑑定はできたけど…これってどういう事なんだろう?
しおりを挟む

処理中です...