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3. どうして?
しおりを挟む結婚式を途中で退席してから数日が過ぎた。
何故か我が家にエルド様のご両親が来ている。
エルド様本人は姿がない。
「この度は娘がご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。本来はこちらから謝罪に行くところなのに来て頂けるとは思ってもいませんでした」
「いや、こちらも悪いのだから気にしないで下さい」
相変わらず優しいですねお義父様…いえ、もう違うんでしたわ。
「エルドにもいろいろと複雑な事情があって…詳しくは言えないのが苦しいところなのですが…」
お義母様…昔からそれを言っていますね。
一体何なのでしょうか複雑な事情とは。
百歩譲って事情があるとしても話くらいはできると思うのですが…間違っていますか?
「エルドとの事を考え直してもらえないかしら」
まさかの話です。
「理由は言えないんだがエルドはクレアさんと一緒になりたいと思っているんだ」
そんなのは感じた事ありませんでした。
「本当に可哀想な子なのよ…。あの魔女さえ…」
お義母様が何かを言いかけたらお義父様がその言葉を遮りました。
「止めるんだ!」
珍しいですね、普段は温厚なお義父様が大声をあげるなんて…。
「あっ、申し訳ありませんでした」
お義母様は口を押さえて黙ってしまいました。
さっき、魔女と言っていませんでしたか?
魔女が何か関係しているのですか?
…気になります。
「今日はもう帰ります。しかし、もう一度考えて欲しいのです」
そう言い残してお二人は帰られました。
エルド様との事をもう一度考える…。
今は無理そうですわね。
しかも、今日は私の婚約破棄を聞いた貴族の方が会いに来られるみたいですし…。
普通は結婚式から逃げ出した花嫁なんて後妻に行くか歳のはなれた人の所にお嫁に行くかしないといけないのですが、ありがたい事に以前に縁談を断った方々からまた連絡がきているのです。
私のどこが良いのかは分かりませんが…。
世の中には結構物好きな方々がいらっしゃる様です。
噂をすればなんとやらで、どなたかが到着されたみたいですわ。
侍女が私を呼びに来ました。
今は人に会いたくはないんですけど…仕方ありませんね。
我儘ばかりを言っていたらバチがあたりますね。
私は訪ねてきてくれた貴族の子息に会いに向かった。
その途中になぜかエルド様の事を考えた。
エルド様は今頃何をされているのかしら?
いつもなら私と会ってお茶をしている時間よね…。
「クレアお嬢様どうされたのですか、ボーとされて大丈夫ですか?」
侍女が心配して声をかけてきます。
「ごめんなさい。大丈夫よ…」
どうして私はこんなにエルド様の事が気になるのかしら…。
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