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84. 結末
しおりを挟む「后妃が死んだ…。」
「ああ、愛人と一緒に家に火を放って…。」
あっけない幕切れという言葉が頭に浮かんだ。
こんな事があるの…。
「見張りが気がついた時には火が回っていて助け出す事が不可能だったらしい。まさかこんな最後になるなんて…。こんな事ならもっと早くに捕まえておくんだったよ。」
曹操も悔しそうだ。
「本人が死んだら後はどうなるの?」
「本人死亡で捜査は打ちきりだな。これ以上は何も調べない。すべて終了だ。」
やはりそうなるのね。
本人に会って直接文句を言ってやりたかったし、色々と聞きたかった。
私のお父様を何故殺したのか。
私のお母様を何故こんな目にあわせたのか。
何故皇帝と結婚したのか…。
すべての不幸はこの結婚から始まったはず。
そしてなぜこんな最後を撰んだのか…。
本人の口から全てを聞きたかった。叶わない夢になってしまったけど…。
「だけどこれですぐに星蘭と結婚できるようになったよ。」
「へ?」
さっきまで悔しそうな顔をしていた曹操が満面の笑みで私を抱きしめた。
「いつにする?準備万端だよ。」
いやいや、私の頭はすぐに切り替えなんてできないよ。それにお母様も気になるし…。
元気になってきたとはいえ自力で歩けるまでの状態ではないのよね。
結婚式にはもちろん出席してほしいから、せめてもう少し元気になるまで待ってほしい。
「あのね…。」
「うん?」
「もう少しだけ待ってもらっても良い?お母様がもう少し元気になるまで…。」
私を抱きしめていた曹操の腕の強さがきつくなった。
「曹操…苦しいよ。」
私が曹操の顔を見るために顔を上げた。
私の額に曹操の唇の温かさを感じた。
「そうだね…。星蘭の気持ちは理解したよ。だけど今回だけだよ。僕はずいぶんと待ったんだからね。」
「…わかった。」
やっと曹操の腕の中から解放された。
「いつでも結婚できるように準備万端にはしてるから星蘭がお母さんが元気になったと思ったらすぐに言ってね。」
「うん。」
「じゃあ、今日の待つことができたご褒美ちょうだい。」
ご褒美?理解できず、私が考えていると曹操が私の顔を両手で挟んだ。
チュッ。
「ご褒美いただきました。」
曹操は凄い笑顔を見せて逃げるように部屋から出て行った。
「…曹操ー!!!」
私の叫び声が響いて茉央が部屋に慌てて来たのは後の話。
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