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71. やっと…
しおりを挟む「曹操様、見つけました。あの方で間違いありません」
「分かった。慎重に行動するように皆に伝えてくれ」
「はい」
やっとあの方を見つける事ができた。これで僕の役目も終わりを迎える事ができるだろう。
長かったな…。
早く星蘭に会いたい。会って抱き締めて今までの事を話をしたい。
好きな人が側にいるのに見つめることしかできなかった日々がどれだけ辛かったか…。
彼女は顔を真っ赤にして怒るだろうか…。
それとも喜んで受け入れてくれるだろうか…。
後者だと嬉しいな。
「どうしますか?今すぐ救出されますか?」
そうだ、今はまだ気を引き締めないといけないんだった。この任務を終えるまでは…。
「まだ、日が高い。暗くなってからの方が良いだろう。とりあえずこのまま待機だ」
「分かりました」
ここまで追い詰めて証拠を集め、やっとあの方を見つけることもできたのに、ここで全てが相手にバレてしまっては今までの苦労が水の泡だ。
奴らが気がつかないうちに全てを終わらせないと…。
「まったく…今更何を言い始めたのかしら。あの人は何をするつもりなの?早く調べなさいよ」
まずい…。一番来てほしくなかった人がやって来たな。
「まあ、でも何があってもこっちには切り札があるんだから逃げてみせるわ。その為に殺さずに生かしておいたんだもの…。」
「ですが、ここはもう相手に知られているかも知れませんよ。移動した方が安全ではないですか?」
アイツまで一緒に来ているのか…。
「大丈夫よ、可愛い曨範。心配しなくてもお母様が上手くやるから」
「しかし…」
曨範がアイツに抱きついている。見ているこっちが気持ち悪いぞ。
「でも、そうね…あの女だけは別の所に移動させた方が良いかもしれないわね。もしもの時のためにね。誰か!誰かいないの!」
屋敷の奥から人がやって来たな。
「お呼びでしょうか?」
「あの女を連れて来なさい。別の場所に移動させるわ」
「はい、畏まりました」
出てきた男はすぐに姿を消した。
移動させる時がチャンスかもしれないな。
「おい、皆に移動のタイミングを狙うと伝えてくれ」
部下に伝達を頼んだ。
いったん、屋敷の外に出て作戦をたてる。
「良いか、必ず無傷でお助けするんだ。分かっているな」
「「「はい!」」」
ここに連れて来られたのは精鋭ばかりだから腕は信じている。
アイツの屋敷の扉が開き中から荷車を引いた男が出てきた。
屋敷に残しておいた部下が僕の元にやって来て報告をする。
「あの荷車の荷台にあの方が隠されています」
「分かった。もう少し離れた林の所で作戦を決行する。行くぞ!」
「「「「「はい」」」」」
そして全員林の中に消えた。
作戦は決行され、無事に無傷であの方を救い出すことが出来た。
やっと、やっとだ…。
星蘭やっと会いに帰る事ができるよ。
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