男装少女は復讐を誓う

縁 遊

文字の大きさ
上 下
68 / 86

68. 炎華様の話

しおりを挟む


「あれは后妃様に言われて作られたのですか?」

 どうしても気になって聞き返してしまいました。

「え?そうよ。あの男性達を集めてあの場所に住ませようと言ったのはお母様なの」

「それは皇女様達のお相手探しの為にですか?」

 そんな噂を前に聞いたような気がするのよね。

「…違うと思う」

 あっさり否定されてしまったわ。

「ここだけの話しにできる?」

「勿論です!」

 私は間髪いれずに答えた。

「お母様とお父様の仲が悪いのは知っていると思うけど、お母様にはお父様と結婚する前から愛人がいたのよ。」

「ええー…」

大声をあげそうになり急いで自分の口を自分の手で塞いだ。

愛人が結婚前からいた?よく后妃になれたわね。

「その愛人を隠す為に作ったらしいわ。それをごまかすために私と曹操の話を持ち出したのよ」

曹操の顔の傷の事件の事ね…。

「私も愛人の事はその時まで知らなかった…。お母様に裏切られたと言うか…捨てられた…と言うか。それから部屋から出られなくなったのよ」

お母さんに利用されたんだものショックよね。

「ではその事をお父様に話されたのですか?」

「…いいえ。私から話さなくても愛人の事はお父様も知っていたみたい。ただ…お父様はお母様が何か隠していると思っているみたい。愛人の事以外でね」

皇帝は何を知りたいのだろう?

「お父様は私の年齢もありお見合いをするために部屋から出て勉強するんだと言ってきたのよ。私はここから追い出されるのよ…」

 それは考えていた通りなのね。いずれはそうなるだろうと思っていたけど…。でも…。

「一つお聞きしても宜しいですか?」

「何?」

「こんな事を聞いても良いのか…。私は物を知らないので教えて欲しいのですが、皇女様達は婿をお取りになり次の皇帝を継がなければいけないのではないのですか?」

 今の皇帝には直径の男子がいなかったはずだ。そうなると皇女のどちらかが継がないといけなくなるのだから、先程の追い出されるという言葉はおかしい。それとも蝶華様が継ぐの?

「…お父様は私達に継がせないと思う」

「え?でも…」

「理由があるのよ。重大な理由がね…」

皇女に継がせない理由?

でも跡取りがいないと…この国は次の皇帝の椅子争いで荒れてしまうだろう。

「その理由とは何なのですか?」

 炎華様が悲しそうな顔をして私を見た。

「知りたいの?でも知ったら貴女は、その秘密を墓場まで持って行かないとダメよ。口外すれば殺されるわ。それでも聞きたい?」

「はい…」

炎華様は私から目線を外して窓から空を見上げた。

「実はね…」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【完結】捨てられ正妃は思い出す。

なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」    そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。  人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。  正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。  人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。  再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。  デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。  確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。 ––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––  他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。  前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。  彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。  

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

【完結】やさしい嘘のその先に

鷹槻れん
恋愛
妊娠初期でつわり真っ只中の永田美千花(ながたみちか・24歳)は、街で偶然夫の律顕(りつあき・28歳)が、会社の元先輩で律顕の同期の女性・西園稀更(にしぞのきさら・28歳)と仲睦まじくデートしている姿を見かけてしまい。 妊娠してから律顕に冷たくあたっていた自覚があった美千花は、自分に優しく接してくれる律顕に真相を問う事ができなくて、一人悶々と悩みを抱えてしまう。 ※30,000字程度で完結します。 (執筆期間:2022/05/03〜05/24) ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼ 2022/05/30、エタニティブックスにて一位、本当に有難うございます! ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼ --------------------- ○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。  (作品シェア以外での無断転載など固くお断りします) ○雪さま (Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21 (pixiv)https://www.pixiv.net/users/2362274 ---------------------

見知らぬ男に監禁されています

月鳴
恋愛
悪夢はある日突然訪れた。どこにでもいるような普通の女子大生だった私は、見知らぬ男に攫われ、その日から人生が一転する。 ――どうしてこんなことになったのだろう。その問いに答えるものは誰もいない。 メリバ風味のバッドエンドです。 2023.3.31 ifストーリー追加

王太子の子を孕まされてました

杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。 ※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。

公爵令嬢は逃げ出すことにした【完結済】

佐原香奈
恋愛
公爵家の跡取りとして厳しい教育を受けるエリー。 異母妹のアリーはエリーとは逆に甘やかされて育てられていた。 幼い頃からの婚約者であるヘンリーはアリーに惚れている。 その事実を1番隣でいつも見ていた。 一度目の人生と同じ光景をまた繰り返す。 25歳の冬、たった1人で終わらせた人生の繰り返しに嫌気がさし、エリーは逃げ出すことにした。 これからもずっと続く苦痛を知っているのに、耐えることはできなかった。 何も持たず公爵家の門をくぐるエリーが向かった先にいたのは… 完結済ですが、気が向いた時に話を追加しています。

運命の番?棄てたのは貴方です

ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。 番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。 ※自己設定満載ですので気を付けてください。 ※性描写はないですが、一線を越える個所もあります ※多少の残酷表現あります。 以上2点からセルフレイティング

処理中です...