男装少女は復讐を誓う

縁 遊

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52. 双子の姉妹

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「実は…私は自分がどこで産まれたのか分からないのです」

これはここに働きに来ることになって茉央と話し合いいろいろと決めた事の1つ。

「分からない?私に知られたくない何かがあるのかしら?」

蝶華様は冷たい笑顔をして見ています。

「いえ、私は捨て子でしたので生まれがどこだとか両親はどんな人だと聞かれても分からないのです。質問に答えられず申し訳ありません」

「ふう~ん。そうなの…」

信じている様子でもありませんが何とか切り抜けられそうです。

「じゃあ今は1人で住んでいるの?」

「いえ、姉と慕う人と一緒に暮らしています」

「そう…。お姉さんとね」

意味ありげな余韻を持たせて話すのは止めてほしいです。緊張感が半端ではありません。

私の事を探ろうと思って呼んだのかしら。なぜ庶民の私を気にするの?

訳が分かりません。

「私もね姉がいるのよ」

蝶華様に姉妹がいる?

「そうなんですね、知りませんでした」

「後宮にいる古い女官は知っている者もいると思うわ。最近は姿を見せないから知らない者がいるみたいだけどね。炎華っていう双子の姉なのよ」

「双子…」

この世界で双子というのは大変珍しい。奇跡の子供達と言われて大切にされる事が多い。だから蝶華様はこんな男の後宮みたいなのを作っても許されているのかしら。

でも、蝶華様って色気があるタイプではなくてどちらかというと男性みたいな雰囲気があるのよね。見た目は綺麗な方なのだけど性格がサバサバした感じだからなのかな?

「あなただけに質問して聞いても悪いでしょ、だから私の事も教えてあげるわね」

蝶華様は女官が運んで来たお茶を口にしながら言った。

「まあ、あなたもお茶を飲みなさいよ」

薦められても…何か入っているかもしれないという怖さがあり素直に「はい」と言えません。

話を変えないといけないかな。

「あの…私はどこを掃除すれば良いのでしょうか?仕事が終わるまではお茶をいただく事はできません」

「あら?真面目なのね…。掃除ね…じゃあついてきて」

この部屋ではないのね。

蝶華様はお茶を飲み干してから立ち上がった。

私の前に来た時にジャスミンの良い薫りがした。ジャスミン茶だったのか。蝶華様が歩くとフワッとジャスミンの薫りがする。

薫りに気をとられながらも蝶華様の後をついて行くと廊下の突き当たりの部屋の前で止まった。

「ここよ。まあ、入れたらだけどね」

「入れたら?ですか…」

どういう事?

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