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25. 僕の初恋の人 〈青晶視点〉
しおりを挟む思い出したくなかった…。
僕には両親に決められた許嫁がいた。
我儘で僕の顔だけが好きで人形の様に扱う人。
僕は何を言っても聞いてもらえなかったから何も話さなくなっていた。それでも、彼女は僕を側に置いた。それに…他にも顔の綺麗な男の子達が彼女のために集められていた。
彼女は僕達にとって絶対に逆らってはいけないお姫様だった。
僕はそんな彼女が大嫌いで逃げ出したんだ。
だけど…途中で見つかって崖から落ちて…。
よく生きていたなと思う。
あの時死んでしまえば…いや、でもそれだと星蘭に会えなかった。神様が僕と星蘭を会わせてくれたのだ。僕が人の心を取り戻すために…。
それなのに、運命は僕達をこのままにはしてくれなかった。
僕が昔の記憶を取り戻した頃に知り合いに会ってしまった。
帰らないといけない…。
星蘭と一緒にいたいと話したが、それは星蘭が殺されるかもしれないから駄目だと言われた。
僕の許嫁は星蘭に嫉妬して殺すだろう…と言われたら何も言えなくなった。
僕は…どうすれば。
関わっていた人達を守る為には僕が今の生活の全てを忘れて元の生活に戻る事だと説得されたけど…。
また、あの人気の生活に戻るのかと思うと気がつまる。
僕に追手が迫っているから早く決断しないとこの宿も燃やされるぞ!と言われて決心した。
僕はあの地獄に帰る。
きっと、星蘭との楽しい思い出があればこれから生きて行ける。
星蘭達を守る為には僕があの人の近くにいて見張らないといけない。
だけど、いざ星蘭に話そうとするとなかなか言えなくて…曹さんが代わりに星蘭に話してくれた。
…星蘭がすごく怒っている。
…泣いている。
泣かないで星蘭…怒らないで星蘭…全部君をあの人から守る為なんだ。
だけど君を巻き込まない為にはあの人の事は話せない。
星蘭は最後に「嘘つきは大嫌い!」と言い残して去ってしまった。
ごめんね星蘭。
こんなお別れになるなんて思わなかったよ。
僕は本当に君と同じ家に住み穏やかに毎日を過ごせたらと思っていたよ。
嘘じゃないよ。
きっと…もう会うことは出来ないだろうけど…。
愛してるよ…星蘭。
僕の初恋の人…。
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○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。
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○雪さま
(Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21
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