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23. 再会
しおりを挟む青晶が倒れてから数日がたった。
どうも青晶の様子がおかしい…。
何かを考え込んでいるというか…うわのそらというか…。
曹さんとも話をしている姿をよく見かける様になった。
2人とも談笑という雰囲気ではなく真剣な顔で何かを話し合っているという感じなんです。
やっぱり2人は知り合い?
青晶に聞いてみたけどはぐらかされてしまいました。
私に知られたくないのかな?
少し気持ちが落ち込みます。
私に何かを隠している…仲間外れみたいで嫌だな…。
暗い気持ちで洗濯物を洗っていると春華さんが私を呼ぶ声が聞こえてきました。
「星蘭!ちょっと来ておくれ」
「はーい!」
洗濯物をしていた手を止めて春華さんのいるフロントまで走る。
「何ですか?…あっ…」
春華さんの前には見知った人の姿があった。
「星蘭様…」
「茉央…」
そこには会いたかった茉央の姿があった。以前より少し痩せてやつれた様に見える。
茉央が私に抱きついてきて力強く抱きしめた。
「心配しました…。良かったです、ご無事で…」
茉央が泣きながら話している。
「茉央は痩せたね…大丈夫?」
「…ダイエットです」
茉央ってば嘘をつくのが下手なんだから…。
元々、スタイルの良かった茉央がダイエットをする必要があるはずがない。多分…私を心配していたんだろうと思う。ごめんね、茉央。
「あんた達…姉弟じゃないのかい?」
2人の感動の再会に割って入ってきた春華さんの疑問にドキッとした。
「姉弟です。だけど母が違うので呼び方が特殊と言うか…」
茉央が慌てて言い訳をしているが、それで通用するのか?と言いたい。
「…ふう~ん、そうなのかい。まあ、会えて良かったね」
春華さん納得した!
今の言い訳で?嘘でしょ!
茉央はホッとしているみたいだけど…。
春華さんは聞かない方が良いと判断してくれたのかな…この人はそういう所があるから。
私達がこの宿に来た時もそうだったしね。
「さあ、星蘭一緒に帰りましょう」
「え?ま、待って」
茉央の言葉に焦ってしまう。
「そんな急には帰れないよ。ここで働かせてもらっているんだ」
「星蘭が…働いている?」
茉央が信じられないといった様な顔をした。
そうだね、茉央は私を働かせる事を嫌がっていたもの。本来ならお嬢様として人を雇い使う方の立場の人間だからと説明されたことがある。
「青晶も一緒にね」
「やはり青晶も一緒にいるのですね…」
茉央は青晶と一緒にいることに驚かなかった。予想していたの?
「驚かないんだね」
「何となくそんな気がしていました」
その時茉央の顔色が急に青ざめていった。
「茉央、どうした?顔色が悪いよ?」
「…なぜあの人がここに居るのですか」
茉央の視線の先に居たのは…曹さんだった。
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