男装少女は復讐を誓う

縁 遊

文字の大きさ
上 下
23 / 86

23. 再会

しおりを挟む


青晶が倒れてから数日がたった。

どうも青晶の様子がおかしい…。

何かを考え込んでいるというか…うわのそらというか…。

曹さんとも話をしている姿をよく見かける様になった。

2人とも談笑という雰囲気ではなく真剣な顔で何かを話し合っているという感じなんです。

やっぱり2人は知り合い?

青晶に聞いてみたけどはぐらかされてしまいました。

私に知られたくないのかな?

少し気持ちが落ち込みます。

私に何かを隠している…仲間外れみたいで嫌だな…。

暗い気持ちで洗濯物を洗っていると春華さんが私を呼ぶ声が聞こえてきました。

「星蘭!ちょっと来ておくれ」

「はーい!」

洗濯物をしていた手を止めて春華さんのいるフロントまで走る。

「何ですか?…あっ…」

春華さんの前には見知った人の姿があった。

「星蘭様…」

「茉央…」

そこには会いたかった茉央の姿があった。以前より少し痩せてやつれた様に見える。

茉央が私に抱きついてきて力強く抱きしめた。

「心配しました…。良かったです、ご無事で…」

茉央が泣きながら話している。

「茉央は痩せたね…大丈夫?」

「…ダイエットです」

茉央ってば嘘をつくのが下手なんだから…。

元々、スタイルの良かった茉央がダイエットをする必要があるはずがない。多分…私を心配していたんだろうと思う。ごめんね、茉央。

「あんた達…姉弟じゃないのかい?」

2人の感動の再会に割って入ってきた春華さんの疑問にドキッとした。

「姉弟です。だけど母が違うので呼び方が特殊と言うか…」

茉央が慌てて言い訳をしているが、それで通用するのか?と言いたい。

「…ふう~ん、そうなのかい。まあ、会えて良かったね」

春華さん納得した!

今の言い訳で?嘘でしょ!

茉央はホッとしているみたいだけど…。

春華さんは聞かない方が良いと判断してくれたのかな…この人はそういう所があるから。

私達がこの宿に来た時もそうだったしね。

「さあ、星蘭一緒に帰りましょう」

「え?ま、待って」

茉央の言葉に焦ってしまう。

「そんな急には帰れないよ。ここで働かせてもらっているんだ」

「星蘭が…働いている?」

茉央が信じられないといった様な顔をした。

そうだね、茉央は私を働かせる事を嫌がっていたもの。本来ならお嬢様として人を雇い使う方の立場の人間だからと説明されたことがある。

「青晶も一緒にね」

「やはり青晶も一緒にいるのですね…」

茉央は青晶と一緒にいることに驚かなかった。予想していたの?

「驚かないんだね」

「何となくそんな気がしていました」

その時茉央の顔色が急に青ざめていった。

「茉央、どうした?顔色が悪いよ?」

「…なぜあの人がここに居るのですか」

茉央の視線の先に居たのは…曹さんだった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【完結】捨てられ正妃は思い出す。

なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」    そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。  人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。  正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。  人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。  再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。  デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。  確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。 ––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––  他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。  前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。  彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。  

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。

【完結】やさしい嘘のその先に

鷹槻れん
恋愛
妊娠初期でつわり真っ只中の永田美千花(ながたみちか・24歳)は、街で偶然夫の律顕(りつあき・28歳)が、会社の元先輩で律顕の同期の女性・西園稀更(にしぞのきさら・28歳)と仲睦まじくデートしている姿を見かけてしまい。 妊娠してから律顕に冷たくあたっていた自覚があった美千花は、自分に優しく接してくれる律顕に真相を問う事ができなくて、一人悶々と悩みを抱えてしまう。 ※30,000字程度で完結します。 (執筆期間:2022/05/03〜05/24) ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼ 2022/05/30、エタニティブックスにて一位、本当に有難うございます! ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼ --------------------- ○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。  (作品シェア以外での無断転載など固くお断りします) ○雪さま (Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21 (pixiv)https://www.pixiv.net/users/2362274 ---------------------

王太子の子を孕まされてました

杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。 ※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。

見知らぬ男に監禁されています

月鳴
恋愛
悪夢はある日突然訪れた。どこにでもいるような普通の女子大生だった私は、見知らぬ男に攫われ、その日から人生が一転する。 ――どうしてこんなことになったのだろう。その問いに答えるものは誰もいない。 メリバ風味のバッドエンドです。 2023.3.31 ifストーリー追加

【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!

ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、 1年以内に妊娠そして出産。 跡継ぎを産んで女主人以上の 役割を果たしていたし、 円満だと思っていた。 夫の本音を聞くまでは。 そして息子が他人に思えた。 いてもいなくてもいい存在?萎んだ花? 分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。 * 作り話です * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

処理中です...