男装少女は復讐を誓う

縁 遊

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17. 茉央の苦悩 〈茉央視点〉

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星蘭様が居なくなった…。

村で火事がおきた日に私が繋いでいた手を離してしまったから。

お兄様やお嬢様に顔向けできないわ…。

「茉央さん…大丈夫ですか?」

劉さんは私を心配して毎日様子を見にきてくれている。

火事がおきた日に助けてくれたのも劉さんだ。

村の人達と林の中を逃げて村の外れにあった洞窟に集まった。

夜が明けて村のあった場所に行くと…家のほとんどが燃えてしまっていた。幸いにも私達の住んでいた家は村の中心部から少し離れていたので残っていたが部屋の中は何者かに荒らされていた。

もしかしたら…と思ってしまう。

お兄様を殺した犯人達が私達を探すためにこの村に火をつけたのだとしたら…そう考えると申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

お嬢様が犯人達に捕まっていたら…お兄様の様になったら…と良い想像が出来なくて眠ることが出来ない。

日に日に弱っていく私を劉さんは心配して食べ物を持って来てくれたり楽しい話をしてくれたりと気を使ってくれている。

良い人…。

私がお兄様達の事がなく普通の女性なら迷わずに劉さんと結婚していたかもしれないが…。

私はあの方の為に一生を捧げると誓った…。

あの方のお母様に誓ったのだ必ずあの方の幸せな姿を見届けると…。

幸せになった姿を見て安心した矢先…その幸せが壊されてしまった。

そしてあの方は姿を消した。

私はあの方を探しながら星蘭様と育てる為に一生懸命働いた。

体は疲れていたが気持ちは幸せだった。

それも…奪われてしまうのだろうか…。

星蘭様…今どこにいらっしゃるのですか?

あの時私が手を離さなければ…。

あの時…星蘭様は何かを見つけた様な感じだった。

何を見ていたのかしら…。

あの時視線の先…青晶!

そうだ、青晶を見つけたんだわ!

…ということは青晶と一緒に今もいる可能性があるかも。

子供2人…しかも目立つ子供の青晶と一緒。

探せばすぐに見つかるかもしれないわ。

「どうしたんだい?茉央さん?」

私の顔の前で劉さんが手を振っている。私は劉さんが持ってきてくれた果物水を一気に飲みほし劉さんに御礼を言った。

「劉さん、ありがとうございました!」

劉さんの手を握り握手した後、家を飛び出した。

待っていてください!星蘭様!

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