男装少女は復讐を誓う

縁 遊

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13. 昔の知り合い

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村からだいぶん遠い所まで来てしまったみたいだ。

ここはどこなんだろうか…。

村の皆が避難している場所を探して行った方が良いのだろうか…。だけどまだあの男達がいるかもしれない。そう思うと皆がいる場所に行く気になれなかった。

茉央…心配しているだろうな。

お爺も青晶を心配しているかもしれない。

でも、とりあえず暫く身を隠してから安全を確認することが一番かも。

私と青晶は手を繋いだまま何処に行く宛があるわけでもなくひたすら歩いていた。

「青晶…これからどうしようか」

「僕は星蘭が決めた事なら反対しないよ…」

青白い顔…弱々しい笑顔…。

「疲れたね、何処かで休もう」

「うん」

大通りから少し外れた森の木陰で休むことにした。

何か食べられる物はないかと探した所、運良く木の実を見つけたので青晶と分けて食べた。

今することは今日の夜の寝床の確保かな。

森の中だと獣が出るかもしれないし危険だよね。どこか家を探すか、洞窟を探すかしないと…。

大通りを見ながらどうすかを考えていたら見知った顔の人が通っているのに驚いた。

「青晶ここで待ってて。知り合いだ!」

相手が覚えていてくれれば…何とかなるかも!

「鄭(てい)さん!」

私は大通りに飛び出し知り合いと思われる人の目の前に飛び出した。

鄭さんは驚いた様子で私の事をまじまじと見ている。

「…もしかして、お嬢様?」

覚えてくれていたのね!

「え?!本当にお嬢様ですか?」

鄭さんが信じられないというような顔をしている。

「星蘭本人よ。お久しぶりです鄭さん」

鄭さんは私が両親と穏やかに過ごしていた頃に屋敷に来ていた商人でお父様の親友でもあった人だ。

「良くご無事で…」

鄭さんは声を詰まらせて泣いている。他の従者の人達は何事かと様子を伺っているみたい。

「お前たちは先に宿に向かいなさい」

鄭さんが従者達に命令するとお辞儀をして先に進んで行った。

「お屋敷がもぬけの殻でしかも血だらけになっていたので何があったのかと心配していたんですよ…。皆様ご無事なんですね?」

そうか…鄭さんは何も知らないのね。

「お父様は亡くなりました…」

「え…永興(えいこう)が亡くなったのですか…」

「何者かに殺されたのです…」

私はありのままを鄭さんに話した。

「そんな…」

鄭さんの顔が真っ青になった。

「お母様も今は何処にいらっしゃるのか分かりません。お父様が殺された時に何者かに連れ去られました」

ますます鄭さんの顔が青くなっていく。

「星蘭さまは今はどうしていらっしゃるのですか?」

「今までは茉央と一緒に暮らしていたのだけれど…」

何て話せばよいのかと言葉を詰まらせてしまった。

「茉央様と…」

鄭さんにはありのままを話した方が良いわね。

「昨日…住んでいた村が火事になって友達と一緒に逃げていたら茉央とはぐれてしまって…今晩の寝床に困っているの」

「そうなんですか。では、今晩宜しければ友人の方もご一緒に私の宿にいらっしゃいませんか?小さな宿ですがお2人くらいなら大丈夫ですよ」

やったわ!鄭さんならそう言ってくれると思っていたの。

「少し待ってくれる?友達を呼んでくるわ」

「はい」

私は青晶を呼び鄭さんの元に行った。

すると鄭さんが青晶の顔をじっと見て…。

「もしかして…この方は…」

鄭さん青晶の事を知っている?
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