男装少女は復讐を誓う

縁 遊

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12. 突然の別れ

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人々が行き交う中に青晶の姿を見つけた。

私は茉央の手を振りほどき青晶の元に走った。

「星蘭!」

茉央の叫び声が聞こえる。

…ごめんね茉央。

青晶は1人で立ちすくんでいた。お爺は一緒にいない。

「青晶!お爺は一緒じゃないのか?」

青晶に駆け寄り話をするが燃え盛る炎を見つめたままで何も答えない。

お爺はケガをした人達を診察しているんだろうか。

青晶の目線を辿って私はギョッとした。

昼間の男達の姿が見えたのだ。

私は咄嗟に青晶を自分の身で隠し、男達の目につかない場所に青晶を連れて走った。

なぜあの男達が村に来ているの?

とりあえずは青晶を隠さないと危険だわ。まとめた荷物の中から女の子の服とスカーフを出した。

「青晶、この服を着て!早く!」

着ていた服を脱がせて女の子の服を着せ、頭にスカーフを巻き付けた。顔には泥を塗りつけて人相が分かりづらくなるようにしてみた。

「星蘭!星蘭!」

茉央が私を探しているが、近くにはあの男達がいる。

どうしよう…。

暫く様子を見ていると茉央の所に1人の男性がやって来た。村長の息子の劉(りゅう)さんだ。劉さんは茉央の事が好きらしく前から私達の様子を気にしてくれていた。火事になり茉央が心配で見に来たのだろう。

「茉央、早く逃げないと危ないよ!」

「でも、星蘭が…星蘭がいなくなってしまって」

茉央が劉さんに抱えられるようにして話をしているのが見える。私は大丈夫だから、茉央逃げて!と心の中で願う。

「星蘭ちゃんはきっと青晶と一緒に逃げているよ。あの二人は仲が良いからね。大丈夫だよ」

「確かに…青晶の姿を見て走っていったのだけど…」

「星蘭ちゃんはしっかりしているから心配はないと思うよ」

そう!その通りだよ、茉央。だから早く逃げて!

「ほら、ここはもう危ないから逃げるよ!」

茉央は劉さんに抱えられながら引きずられるように連れていかれた。

茉央はそれ程私を心配してくれているのね…ごめんね茉央。

茉央を劉さんが連れて行ってくれた事で一安心したけど、あの男達はまだ村にいるみたいだ。

この火事ってもしかして…。

「僕のせいだ、僕のせいで村の皆が危険な目に…」

青晶が声をあげて泣き出してしまった。今は声を聞かれるのは危険だ。

「青晶、今は声を出して泣いてはダメよ!貴方を追いかけて来ている人達がそこまで来ているわ。見つからないうちに逃げるのがさきよ!」

私は小声で青晶に声をかけた。

明るい所は男達に見つかる可能性が高いから通れない。暗い道を2人で手を繋いで逃げた。なるべく遠く、なるべく人に会わないように…。

どれぐらい走ったのだろうか…。

村が燃えているのが見えなくなり、辺りも暗闇から夜が明けて光が差してきた。

私達は見知らぬ土地にいた。


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