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11. まさかの出来事
しおりを挟む茉央からお母様の実家の話を聞いてから胸の辺りがモヤモヤする。
眠れない…。
お母様はどんなに辛かっただろう。
自分の家族に殺されるかもしれないなんて思いながら生活するなんて…私には考えられない。
それに…茉央にも悪いと考えてしまう。
茉央は私のお母様を探しながら、私を世話してくれている。私に関わる事で命の危険があるかもしれないのに…。
お母様の実家の人達は私の存在を知らないのかしら…それとも女だから跡取りには関係ないと思っているのかしら。関係ないと思ってくれているのなら良いんだけど。
そうでなければ茉央を巻き込んでしまう。
もし、もしも…私が襲われる様な事が起こるようになれば私は茉央から離れないといけないわ。
茉央には幸せになって欲しい。
美人で気立ての良い茉央は村でも人気がある。だけど、私がいるから誰とも結婚せずに私の面倒をみてくれている。私が居なくなればすぐにでも結婚できるだろう…茉央が私の犠牲になることはないわ。
私も独り立ちをするために茉央には秘密でいろんな事を村の人達から教えてもらった。
料理、裁縫、歌、踊り…そして身を守る為に武術も。村に住む名人と呼ばれる人達を訪ねて教えてもらったり、村に来た踊り子や歌い手等に付きまとって覚えた。
全てはいつかお父様を殺した人達に復讐し、お母様の行方を探す為。
私はずっと忘れていない、お父様の最後を…。
復讐の為なら何でもするつもりでいる。
そこに茉央は巻き込んではいけないとずっと思っていた。
茉央から離れる日は近いのかもしれない。
だけどそれは今すぐの事ではない。
今は青晶の事も気になる。
記憶は無くしてもあの男達の姿を見て青ざめ震えていた…青晶は一体どんな目にあったのだろう。
記憶を無くすくらいの酷い目にあったのは想像できるし、実際にお腹を刺されていたのだから。
私と同じ様に逃げ出して来たのなら…手助けしてあげたいとも思う。
青晶が記憶を戻すまで…。
だけど、あの男達がいつこの村にやってきてもおかしくはないし、青晶もこの村から出た方がよいのかもしれないわ。その時は一緒に出ていこう。1人よりも2人の方が何かと助かりそうだしね。
私は何とか自分の考えをまとめて寝ようとして、掛け布団を頭まで被った。
その時だった…。
「星蘭様!起きてください!火が…村が燃やされています!早く逃げないといけません!」
私はベッドから飛び起きて窓から外を見た。
真夜中のはずなのに明るい…。
炎が大きく天に向かって上がっているのが見えた。
「どうして…」
扉を開けて茉央が入って来た。
「星蘭様!はやく身の回りの必要品だけをまとめて逃げますよ!」
茉央は手早く私の荷物をまとめて呆然としている私の手を掴み家から飛び出た。
外は逃げ惑う村の人々で溢れている。
どうして…どうしてこんなことに…。
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