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47. 2つの顔 〈ハイリ視点〉

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いったい何が起きたのだ?

サファイアを触ってやろうと思って頭を撫でて…気づいたら窓の方に吹き飛ばされていた。
サファイアの仕業?
いや、呪文も唱えていなかった…。
なんなんだ…?!

しかも、俺が気を失っている間にサファイアは屋敷から逃げやがった。
使用人達も俺が気を失っていたから驚いて俺だけしか見ていなかったみたいだ。
いつ、どこから出ていったのかもわからない…。

最悪だな…。

せっかく手に入ったと思ったのに、一瞬だった。

手下に探させているが、見つからない。

転移魔法でも使ったのか?

サファイアの姿を見た奴も見つからないなんて。

もう、アイツの所へ帰ったのだろうか…。

そうだよ、何でアイツの所にサファイアが居たんだ?
よりによって、俺の大嫌いな奴の所へ行かなくても良いじゃないか…。

俺の兄と友人で兄とタイプの似たアイツ…。
隣国の第一王子のアデル…。

そもそも王子なんて言っているがアイツは、どこの誰だかわからない男の子供なんだから、王族から外されないのがおかしいんだよ。

それなのに、王家に居座り続けている悪い奴だ。

アイツの、下の王子達もよく黙っていられるな。

俺なら、色んな貴族達を巻き込んで引きずり下ろして、平民にしてやるのに…。

そうだよ、良い事を思いついたぞ。
アイツの弟達を味方にしよう。
上手くいけば…アイツの身分も奪えるし、サファイアも奪える…。

ククッ…やはり、俺は天才だな。

確か、弟は2人いたよな。

すぐ下の弟が16歳になったんだったかな…。

パーティーがあるとか言って兄が出掛けていたのを覚えている。

一番下は…12歳だったか?

年齢から言えば真ん中を狙うべきだな…。

どうやって近づこうかな。

そうだ、誉め殺し作戦でいこう!

君は王様になるのに相応しい優れた人だとか言って誉めておいて、それからアデルの悪口を吹き込もう。そうすれば、自分で考えるだろう。…誰が次の王様に相応しいのかを…。
その時に、手を貸して恩を売れば…こちらの思うままになるだろうな。

フッハハハッ!

想像しただけで、ワクワクするよ。
アデルの悔しがる顔とか…サファイアの怯えた顔…。
堪らないな…。

人の悲しむ顔、怯えた顔、悔しがる顔…何回見てもぞくぞくするよ。

僕は人々のそういう顔が見たいんだ。

両親にはこういう僕の裏の顔を見せていないけど、兄さんはどうやら、気づいているみたいだ…。

小さい頃から動物をいじめたりしていたからね。
自分で殺したのに両親の前では、泣いて悲しんでいるふりをした。両親は僕の事をなんて優しい子なんだって言っていたけど、兄さんだけは冷たい目で見ていた。

たぶん…わかっていたんだよね殺したのは僕だって…。

いざとなれば、兄さんも…。

フフッ…。楽しみで仕方ない。


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