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43. 逃亡
しおりを挟むガシャーン!!バリバリ!グワシャ!!
凄まじい音と共に部屋の大きな窓のガラスが割れて、そこに男が倒れて気を失っていた。
「ハイリ様すごい音がしましたがどうされましたか?!」
慌てて、使用人達が部屋に入ってきた。
「ハイリ様!大丈夫ですか!」
使用人達が慌てて助けようとしている。
部屋のドアが開いたままだ。
今だ!
私は急いで部屋の外へと逃げ出した。
今なら目立たずに逃げ出せそうだよ。
私は必死で屋敷内を走った。
見つけた!調理場の勝手口が開いている。
私は屋敷の外に出た。
あの男が意識を取り戻すまでの勝負だ。
今まで、お屋敷でゴロゴロとモフモフしかしていなかった私は運動不足でかなり息があがっている。
はぁ~…はぁ~…。
森まで来たけど…ここはどこなんだろう…?
どうしようかな…無闇に歩いても体力を消耗するだけだし…でも、ずっとここにいても捕まるかもしれないし…。
あー!もう、どうしたら良いの?
私は一刻も早く屋敷に帰ってザジさんに会いたいのに!
無事かどうかを確認したいのに…。
その時、人の気配がしたので急いで隠れた。
怖い…あの男だったら…どうしよう…。
「あれ?サファイアじゃないかい?それとも、他人のそら似…」
聞いた事がある声がする…まさか…。
『クマナさん!』
そこに居たのは西の魔女と呼ばれるクマナさんだった。
「やっぱり、サファイアなのかい。こんな所で何をしてるんだい?」
『クマナさ~ん。助けてください』
私はクマナさんに抱きついた…と言うか…飛びついた。
私はクマナさんに、これまでの話をした。
「怖い目にあったんだね。無事で良かったよ」
「でも、私のせいで、ザジさんが…」
思い出すだけで涙が出てくるよ。
「よしよし。大丈夫だよ」
クマナさん、優しくされると余計に泣けてくる。
「クマナさんはどうしてここにいるの?」
「私か…私は魔女の集会があってな、東の魔女の所を訪ねて来たんじゃ」
東…。ここは一体どこなの?
「サファイアにわかりやすく言えば、住んでいるカルダナル国の隣の国に住んでいる魔女じゃ」
そうなんだ!私は隣の国まで連れて来られてたんだ。
「東の魔女の家はすぐ近くだから一緒に行くかい?結界をはってあるから魔力を辿ることもできないし安全だと思うよ」
行くー!連れて行って下さい!
「行きます…ありがとうございます」
私は、クマナさんと一緒に東の魔女の家に向かった。
因みに今はクマナさんのマントの中に隠れてしがみついています。
知らなかったんだけど、魔女さんのマントには魔力の反応を消す作用もあるらしい…あと、気配も消せるなどもできるみたい。
…魔女マント良いよね。
…欲しいな。
でも、猫の私が着るとマントを引きずるからダメだね。二足歩行の猫なら良いんだろうけど…。
前世で見たな…長…をはいた猫?だったかな、そんな絵本があったよね。
本当…前世の記憶はこんなに覚えているんだよね…。
はぁ~。
「着いたよ。ここが東の魔女の家だ」
うわ~、可愛いレンガ造りの家です。
その時、家の扉が開いて中から人が出て来ました。
あれ…何でここに貴方がいるの?
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