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9. ご主人様のお友達

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最近、お屋敷の中を歩いているとやたらと視線を感じるの。

だけど、振り向くと誰もいないの…。

…昼間から幽霊ってでないよね?

ちょっと怖くなってきちゃったよ。

今日は、屋敷の皆さんが忙しそうだから邪魔してはいけないし、やっぱり…ザジさんの所に行こう。

怖さを吹き飛ばすにはモフモフしかないよね。

そう思っていたのに、ご主人様に捕まってしまった。

私のモフモフタイムを邪魔しないでほしい…。

「サファイア、今日は僕の友人が訪ねて来るから大人しくしていてね」

ご主人様のお友達がくるの?

このお屋敷にお客様なんて珍しいね。

どんな人がくるのかな?

そういえば、ご主人様ってイケメンなのに彼女とかもお屋敷に連れて来ないよね。

彼女いないのかな?

もったいないな、イケメンの持ち腐れだよ。

私が人間ならご主人様の彼女になってあげられるのにね。

でも、ご主人様なら選り取り見取りだから、私は選ばないか…。

……自虐でダメージをうけちゃったよ。

とりあえず、大人しくしてます。

やっぱり、ザジさんの所へ…と思ったら、また誰かに捕まった。

「新入りだなお前。珍しい種類の猫だな…ん?」

  ダレ~!
  誰か~!
  知らない人に捕まった~!
  助けて~!
  ヘルプミ~!

「ニャニャニャ!シャー!」

足をバタバタさせてみるも逃れられず…。

本当に猫って大変だね。

「リル!サファイアをいじめちゃ駄目だよ」

ご主人様が慌てて来てくれた。

「サファイアの悲痛な鳴き声が聞こえたから何事かと思ったよ…来ていたんだねリル」

え?
ひょっとしてご主人様のお友達ってこの人?

私はリルさんに首根っこをつかまれたままのでリルさんの顔が見れない。

『離して~』

「ニャー」


「サファイアを床におろしてくれる?」

さすがご主人様、わかってますね。

リルさんは私を床に下ろした…というか放り投げた。

この人…。

振り返ってリルさんを見た。

ご主人様とは違うタイプのクール系のイケメンだ。

髪も瞳も黒い、前世を思い出しちゃうよ。

前世の世界ならイケメン俳優とかでいそうな顔。

「サファイアは僕の大事な家族なんだから大切に扱ってくれる?」

そのクール系イケメンのリルさんが、ご主人様に怒られてる。

「お前は本当に物好きだな。こんな変な猫まで飼いはじめたのか?」

「サファイアは変じゃないよ」

そうだ!そうだ!

言って、もっと言ってやって!

ご主人様。

「見た目も変わっているが、何よりこの猫、術がかけられているじゃないか!」

 え?

 術ですか?

「知ってるよ。だけど悪い猫ちゃんじゃないよ」

 え?

 ご主人様も分かっていたの?

 それって神様が言っていたやつですよね?

「しかも、何の術かが分からないようにする高度な魔術を使ってる。こんなのを側に置いておくと間違いなく厄介な事になるだろ!」

 え?

そうなの?私がここにいるとご主人様達に迷惑をかけることになるかもしれないの?

「僕ならサファイアを護ってあげられると思ったから置いてるんだよ。リルは僕を心配をしてくれているんだよね。ありがとう」

「本当に大丈夫なんだな?」

「屋敷全体にも護れるように術をかけてあるし、僕の強さは君も知っているだろう。」

「お前がそう言うのなら大丈夫だな…」

イヤ、全然大丈夫じゃないよ!

私のこの精神的なショックはどうなるんだ。

もしかして、私の記憶がないのも術が関係しているの?

神様のスランプのせいではなくて?

混乱している私をおいてご主人様とリルさんはゲストルームに入っていった。



『神様~!応答願います!』

 ……………。

『まだ、スランプなんですか~!』

 ……………。

まだ、連絡取れないんだね。

私のモフモフ生活のピンチなのに応答してよ。

神様~!




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