お嬢様は地味活中につき恋愛はご遠慮します

94. お母様の勘

「…で、どうするの？」

緊急事態です。アレルギーの湿疹が思っていたより治りません。その為に会社の有休を使いきってしまいました。

今は家に来ているお母様に会社を辞めないか？と言われているんです。

何故かと言うと…。

「良い機会だから、この時に会社を辞めて花嫁修業をしましょうよ。ねぇ」

お母様は私に早く結婚してほしいとずっと言い続けていたのでこれをチャンスと思ったみたいです。

プロポーズもされた相手がいますって今言ったら間違いなく仕事は辞表を出すことになりますわね。

でも…そうですね。

賢人さんの話だと賢人さんも仕事を近い内に辞めて実家を継ぐみたいですし、私も辞めて今から賢人さんの実家の会社について勉強した方が良いのかもしれませんね。

だけどそうなると、お互いの会社の跡継ぎ問題でお父様がエキサイトしそうですわ。

私と賢人さんが結婚するということは、お互いの会社を合併するかどうかの話にもなりかねない。もちろん親族ではない優秀な社員に会社を任せるというのもありだけど、私のお父様に関してはそれは考えられないんです。

口癖は「私に婿を取り会社を継がせれば私と離れなくて済むだろう！」でしたので。

考えれば考えるほど頭が痛いですわね。

お父様の溺愛は大人になればなくなっていくだろうと思っていましたが、大人になった今でも変わりませんでした。

今、私が「結婚します」と言ったらお父様は反対するかもしれません。お母様は後押ししてくれると思いますが、お父様は拗ねそうですわね。

ここは決意の時なのかしら…。

そうね…。元々は賢人さんに告白して振られた時の事を考えて辞める準備をしていましたし、今から言えば3カ月後くらいに辞めることはできます。

それまで病欠で休みながら過ごしても大丈夫かしら。4月から新入社員の子もはいってきてますし、人数的には問題はないでしょう。

「分かりましたわ。お母様の言う通りにしますわ。会社には辞表をだして3カ月後に辞められる様にしますわ」

「あら、そう。では花嫁修業も準備しておいて良いのね」

お母様は目をキラキラさせて嬉しそうです。

「貴女がそんな事を言うということは…居るのね。好きな人が…」

お母様鋭い！

「…え？」

「フフッ…誤魔化そうとしてもダメよ。何年貴女の母をしていると思っているのかしら。相手は誰なの？有宗さん？それとも新しい人？」

お母様が私に迫ってきます。圧が凄い！

「ねぇ、白状しなさいよ…菫ちゃん」

どうしましょう…。