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73. クネクネは止めませんか?

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「ええ!本当ですか」

「そんなに驚くか…。まあ、そうだな、そうかもな…」

会社の昼休みに橘さんから衝撃の事実を教えてもらいました。橘さんは島岡さんから聞いたらしいのですが…。

何と…森本先輩が例のカフェのオーナーさんとお付き合いを始めたらしいです。

最近絡まれなくなったと思ったら、そんな理由があったのですね。

驚きです…。

でも、以前に婚約破棄をされた事がある森本先輩…今度こそは幸せになって欲しいと思います。

そして噂をすればなんとやら…森本先輩があらわれました。

「はい、これお土産よ」

デスクに置かれたのは美味しそうなクッキーです。

「どこかに行かれたのですか?」

クッキーの袋には何も書かれていないのでどこのお土産だか分かりません。

「いえ、ダーリンのお店に行っていたのよ。ダーリンのお店の新作のお菓子なの」

…これは、聞いて欲しいから持ってきたパターンですよね。

「えっと…ダーリンとは森本先輩の彼氏の事ですか?」

「やだ、分かった」

分からない人なんているのでしょうか?

「彼氏ができたのですね」

「そうなの!どんな人か聞きたい?」

もう知っているのですがここでそれを言ってしまうとご機嫌をそこねそうなので聞くことにします。

「…はい。教えてくれるのですか?」

森本先輩は凄い笑顔をしています。

「ふふ…。藤堂さんも知っている人なのよ」

そうですね。

「誰だと思う~」

…少しめんどくさいですね。

「どなたなんでしょうか?私には見当もつきません」

森本先輩が身体をくねくねさせながら話しているので落ち着きません。早く答えて下さい。

「どうしようかな~、でもな~」

うん、聞かなければ良かったですね。

笑顔がひきつってきました。目元がピクピクしてしまいますわ。

「ヒントはね~、飲食店の人よ」

これはもう答えても良いですよね、ね!

「あ!分かりました。あのカフェのオーナーさんですか!」

「分かっちゃった~、そうよ琉斗さんなの~。やっぱりお似合いだから分かるのかしら~」

私はひきつった笑顔のまま頷いています。

「楽しそうだね」

島岡さん登場です!

「え~、そうですか~分かります~」

先輩…その話し方止めませんか?

「今~、琉斗さんの話をしてたんですよ」

「ああ、そうなんだ。この前一緒に出かけたんだよね?聞いたよ」

森本先輩は顔を両手で覆いながら、また身体をクネクネさせています。

「やだ!ダーリンてば話したのね~」

いや、嬉しそうですけどね。

それとは反対に島岡さんは不思議そうな顔をしています。

あれ?雲行き怪しい…。

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