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70. ドキドキ倍増です
しおりを挟む夜道を島岡さんと一緒に歩けたのはとても嬉しかったのですがだんだんと気分が落ち込んできてさまいました。
「あっ、あった。ほらあそこを見て…」
島岡さんが指差す方を見ると…。
「うわぁ~、綺麗…」
ライトアップされた桜が暗い夜の闇を明るくしています。
「桜咲いてて良かった…。もしかしたらまだ咲いていないかと思ってドキドキしたよ」
「え…もしかしてホテルまで歩こうと言ったのはこれを私に見せるためですか?」
島岡さん…どうしましょう、ドキドキが止まりそうにもありません。
こんな素敵な場所に島岡さんと2人なんて…デートみたいではないですか。
桜の下を歩く島岡さん…絵になります。
そうだわ!
「あの…写真撮っても良いですか?」
島岡さんと桜…携帯の待受画面にします。
「ああ、それなら藤堂さんも一緒に撮ろうよ」
「え?」
いや、それはちょっと…恥ずかしいです。
ですが、島岡さんの行動は早く私の手を引っ張って写真映えしそうな場所まで連れて行かれました。
どさくさに紛れて、手…繋いでます。
このまま繋いでいたいな…。
でも、幸せな時間はすぐに終わりました。
島岡さんは手を離し携帯を取り出しました。
「ほら、僕の携帯で撮って藤堂さんの携帯に送るね。もう少しこっちに来てくれる?そう…撮るよ…」
カシャ!
周りから見れば彼氏と彼女に見えるくらいの近さで写真を撮りました。
顔が赤くなかったかが心配です。
フラッシュが眩しくて目を閉じてしまっていないかしら。
「うん、綺麗に写っているよ。ほら…」
今撮った写真を携帯の画面で見せてくれました。
満開の夜桜をバックに笑顔の二人が写し出されています。私は少し顔が赤い様ですが…それでも良い写真です。
「私…この写真大事にしますね。待ち受けにします」
思わず口から本心が出てしまいました。
「じゃあ、僕も待ち受けにするよ」
「え…島岡さんもですか」
ドキドキが倍増しているのが自分で分かります。
いや、私が邪魔になりませんか。彼女と勘違いされますよ。
それとも…島岡さんも私と同じ様に思ってくれていますか。
今は島岡さんの背中しか見えないのでどういう顔で言っているのかが分かりません。
静かな空気の中、島岡さんの声が聞こえてきます。
「だって…照れてる藤堂さんが可愛いから」
私の方に振り返り、いたずらっ子みたいな笑顔を見せます。
「…もしかして、島岡さん私をからかっていますか?」
島岡さんは何も言わずに笑顔で私を見つめています。
「もう…知りません」
私のドキドキを返してください。
「ハハハッ、ごめん。冗談だよ、本当に待ち受けにするつもりだから」
今度は本当ですか?
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