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66. 新しい担当者

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「あれ?そちらの方は初めてお会いしますよね」

「初めまして、藤堂と申します。宜しくお願いします」

私は笑顔で挨拶をした。さっきの受付でのやりとりで少し肩の力が抜けたのが良かったのかしら。

受付効果恐るべしですね。

谷口さんは私達を連れて社内を移動しながらいろいろと教えてくれました。

今回は担当の方が変わるらしく顔合わせをしたいとのことです。

本来なら一緒に来るべきだったのだが急用で外出しているらしいですわ。

「あ、それから社長がお二人にお会いしたいと言っているんですよ。今から会ってもらっても良いですか?」

「え!社長さんがですか…」

島岡さんが驚きを隠せない様子ですね。そうですよね、急に今までお会いしたこともない社長から会いたいなんて言われたら何を言われるのかと心配になりますよね。

まあ、多分…私がいるからだと思うのですが…。

「急にすいません…。分かっていたら先にお伝えしたんですが、今日出社したら社長から伝えられたので…私も驚いているんですよ。今までこんな事は無かったのですが…」

「そうなんですね」

私はその理由を知っています…とは言えません。

おじ様…私に会いたいなら私のお父様に言って下さればお休みの日にでも来ましたのに…。

それとも、他に何か理由があるのかしら?

結局、島岡さんと社長室の前にいます。

「社長、失礼します。お二人をお連れしました」

「初めまして、今日は突然すいませんでしたね」

おじ様変わりませんね。相変わらずネクタイは豹柄なんですね。

「初めまして、島岡です。いつもお世話になっております」

「藤堂です。お会いできて嬉しいです」


「いや~、御社の社長とは学生からの付き合いなんだよ~。彼の会社の社員に挨拶をしたいと前から思っていたんだけど時間がなくてね~、いや~、やっと会えたよ」

豪快に笑いながら話していますが…何となく嘘っぽいと思えてしまうのですが…。

その時部屋にまた誰かが入ってきました。

「お!間に合ったか」

ん?間に合った…?

「遅くなり申し訳ありません。新しく担当になりました市村と申します」

市村…って、おじ様の名字と同じです。

もしかして、おじ様の一人息子の淘汰(とうた)さん?!

「こいつは私の息子なんだ。まだまだ勉強中の身だけどね。宜しく頼むよ」

淘汰さんを担当にする?

私の嫌な予感はもしかして…。


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