お嬢様は地味活中につき恋愛はご遠慮します

59. 勇者橘さん

「森本先輩…フルーツ凄い甘くて美味しいです」

「…そう」

褒めるものがもうフルーツしか残っていなかったので褒めましたが…機嫌は直りませんね。

「ねえ、藤堂さんのパンは持って帰っても良いんだよね？今日の晩御飯にしようかな…あ～でも今食べたいな～」

橘さん…相変わらずこの冷たい空気を感じていない様子ですわね。

「菫様…凄い美味しいです」

褒めていただけて嬉しいですが…泣きながら食べないで下さいね有宗さん。変態さん度合いが増していますね。

「このハンバーガーのお肉ジューシーで美味しいです。サンドイッチは持って帰っていただきますね。森本さんの美味しいご飯を沢山いただいたのでお腹がいっぱいになってしまいました」

さすが島岡さんです。森本先輩のフォローも忘れてはいません。ありがとうございます。

森本先輩もご機嫌が少し良くなったみたいです。良かった～。

「食後に珈琲どうぞ。ミルクと砂糖もあるよ」

島岡さんは自分でポットから温かい珈琲をいれて私達の前に置いてくれた。

「いい薫りだね…」

有宗さんは珈琲がお好きでしたよね。

「あ～、やっぱり食後は珈琲だよね」

橘さんも満足そうです。

「これってどちらの珈琲ですか？初めての店に1人で行くのは心細いので今度一緒に行っていただけませんか？」

森本先輩…素早い変わり身ですね。先程までお怒りモードでしたのに、今はもう島岡さんに迫っていますね。頭の切り替えが早いんでしょうか。

あっ…いつの間にか島岡さんに触れています！

け、携帯を出しています！

もしかして…番号を交換してますか？

あ～、森本先輩がぐいぐい行ってますね。

…羨ましい。

「菫様…どうかされましたか？珈琲のミルクと砂糖はどうされますか？」

有宗さんがミルクと砂糖を手に持って私の前に来ていたのに気がつきませんでしたわ。

「えっと、今日はミルクと砂糖の両方をいれます」

このモヤッとした気持ちをどうしたらよいかを考える為に糖分を取ることにしました。

「島岡さん助ける？」

橘さんが私に小声で言ってきました。

「どうやって助けるんですか？」

森本先輩はなかなか離れませんよ。今までターゲットにされていたんだから分かりますよね。

「俺が持って来たカップケーキを配って話をそらすとか？」

上手くいきますかね。最後の語尾が上がっているところが自信がないあらわれだと思うのですが。

「俺…行ってくるよ」

勇者橘さんが森本先輩の元に向かいます。

島岡さんの救助を任せましたよ！