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55. 森本先輩の巨大荷物

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「おはようございます森本先輩…何だか凄い荷物多くないですか…」

会社の入口付近で部署の後輩から聞かれた森本先輩は嬉しそうだ。

「え~、そうかしら~、今日はお弁当を持ってきたから荷物が多いのかも~」

と言いながらチラッと島岡さんを見ましたよね。

いつもとの違いに驚きます。

確かに尋常ではない大きさの物体を持っていますが、それ…ロッカーに入りますか?お重箱だけだとその大きさにはならないはず…一体何を持ってきたのでしょうか。

「おはよう、藤堂さん」

「おはようございます、橘さん」

爽やかに橘さんが挨拶をしてきた。最近同じ時間に会うことが多いのは気のせいかしら。

「プッ…何あれ?森本先輩凄いな…」

森本先輩の巨大な荷物を見た橘さんが笑ってしまっている。

「凄い大きさですよね。ロッカーに入るのかなと心配していたんです」

「え?そこ心配するの…。プッ…さすが藤堂さんだね」

なぜ笑われているのでしょうか。何も変な事は言っていないと思うのですが。

「普通は女性同士で張り合って、お弁当の大きさに負けたと悔しく思ったりするところじゃないの?」

ああー、そう言うことでしたか。それは無いですね。

「それは別に何も思いませんよ。何を持ってきたのかなと気にはなりますけどね」

「そうなんだ…」

「そういう橘さんは何を持って来たんですか?」

見たところ…手ぶらに見えますけど?

「ふふ…秘密だよ。楽しみにしててよ」

橘さん、楽しそうですね。

「分かりました、楽しみにしています」

「え?!そこもっと聞かないの?何にしたんですか、教えて下さいよ~的な事は無し?」

「キャラではないですね」

「冷たいな~、藤堂さん」

最近話し方がだんだんと変化してきていますね。こちらが普通なんでしょうけど…。

「朝から楽しそうだね…」

「「おはようございます。島岡さん」」

後ろから島岡さんが声をかけてきてくれました。朝からついてます。だけど…橘さんとの事を誤解されていませんよね。

「いや~、朝から藤堂さんが冷たいなと話していたんですよ」

橘さん!島岡さんになんて事を言うのですか!誤解されてしまう。

「藤堂さんが冷たい?そんな事ないよね。藤堂さんは気配りが出来て優しい人だよ」

神様…ありがとうございます。島岡さんが私の事をこんな風に思っていてくれたなんて…聞かせてもらえて感謝しますわ。

いけない、感動している場合ではありません。お礼を言わないと!

「…島岡さんから誉めていただけて嬉しいです。ありがとうございます」

は~、一気に体温が上昇しています。

「ちょ、ちょっと島岡さんと俺との態度に違いがある様な気がすんだけど…」

橘さんその通りですが気にしないで下さい。

「島岡さんは何を持って来たんですか?」

橘さんが島岡さんの荷物をチェックしている。

「昼に届く様にしてあるから今は持ってないよ」

「「何を注文したんですか?」」

「待って…藤堂さん…俺の時は聞かなかったのに島岡さんには聞くの?酷くない?」

私は黙って橘さんを見てニッコリと微笑みながら首を横に倒しました。

「く~、何それ…ツボにはまるんだけど…」

見ると橘さんだけでなく島岡さんまで顔が赤くなっています。

私…何かやらかしましたかしら?
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