お嬢様は地味活中につき恋愛はご遠慮します

50. 恋ですね

「藤堂さん僕と付き合ってくれない？」

衝撃の告白です。

え～と、私は地味活動をしていて目立たず真面目に仕事だけをこなす毎日を過ごしていたはず…。

どこに人様に惚れられる要素があったのでしょうか？

それとも橘さんはマニアックと呼ばれる類いの人なのでしょうか…。

「いや…そんなに驚く？」

私は首を縦に何回もふった。

「そうか…まあ藤堂さんの事だからきっと"何で私？"って思ってるんだろうね」

よくお分かりですね。

「ん～、世の中の人全員が派手な美人が好きな訳ではないんだよね。いろんな好みがあると思うんだ。僕はさっきも言ったと思うけど何事にも一生懸命で、僕といても気を使わないで一緒にいられる人が好きなんだよ。それって藤堂さんに当てはまるでしょ？因みに顔は重要視してないから」

私に当てはまるでしょ？って言われても困りますが…確かに気を遣われた覚えはありませんし、私は仕事で手を抜くのは嫌いですね。

「俺…自分で言うのも何だけど良い彼氏になると思うよ」

良い彼氏の基準が分かりませんが…話言葉も変わってませんか？僕から俺になってますし…こっちが橘さんの素なんですかね。

「あの…私…今は誰とも付き合う気はありませんので…すいません」

ここはハッキリさせておかないと…。

「今は？なの。そっか、じゃあ気長に待つことにするわ。これからも宜しくね藤堂さん」

あっさり橘さんが離れていくと思ったら…。

もう一度抱きしめられてしまいました。

「俺の事を意識してもらう事から始めるね」

おまけに額にキスをして笑顔で帰っていきました。

…ここ、会社ですよね？

橘さんってあんな人だったんですね。

驚きです。私の周りにの男性は皆さん外国風にお育ちになられたのでしょうか？

スキンシップが激しくないですか？

はあ～、頭が追い付きません…それに聞きたかったことも聞けていませんし。

何だったのでしょうか…。

森本先輩も橘さんから島岡さんに乗り換えるみたいな事を言っていましたし…。

考えただけで胸が締め付けられます。

橘さんが迫られている時はかわいそうにと思うだけでしたが…。

島岡さんは誰にでも優しいからな。森本先輩に迫られれば断れないかもしれない。

2人が付き合う…。

考えただけで胸がモヤッとします。

これはやはり認めるしか無いようですわ。

私は…島岡さんに恋をしているみたいですね。