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23. パーティーは忙しい
しおりを挟む「あ痛たた…」
大袈裟に腰をさすっていますが仕方ないですよね。
「まあ有宗さん、どうされたの?」
パーティーでご婦人方が心配して声をかけている。
「いや、ちょっと足を滑らせて転けてしまって…腰を打ってしまったんですよ」
私に飛ばされたなんて恥ずかしくて言えませんよね。
「まあ、大変だわ。有宗さん…私が介抱しますからあちらで一緒に座りませんか?」
おっ!肉食系女子の登場ですね。
有宗さんに体をピタリとひっつけて腕を掴んで離しません。
「ありがとう。でも大丈夫ですよ…」
有宗さんが手を上げて私を呼んだ。
「紹介しますね、僕の婚約者です」
有宗さんが私の腰に手を回してきた。
うっ…我慢ガマン。
「初めまして、高宮です。有宗がお世話になっています」
笑顔で有宗さんに寄り添うようにしてみた。
肉食系女子は悔しそうな顔をして、私の事を下から上までじろじろと見ています。
視線が刺さりそうですよ。
「あら…有宗さんに婚約者がいるなんて初耳だわ」
そうでしょうね、今日初めて言いましたから。
「そうなんですよ~。最近、婚約したんです。僕の一目惚れなんですよ」
有宗さん…顔が近すぎる!
一目惚れ?よくそんな嘘がスラスラと言えますね。
「…へ、へぇ、そうでしたの」
まあ、女性が悔しそうに有宗さんの腕を強く握っています。
よほど有宗さんの事がお好きだったんでしょうか。
「聞こえましたわ!有宗さん、婚約されたのね。おめでとうございます」
近くにいたマダム達が寄ってきてお祝いを言っている。
「まあ、綺麗なお嬢さんね。どちらの方かしら?」
「高宮グループのお嬢さんです」
「「「まあ!」」」
マダム達が騒ぎ出した。
「あの高宮さんのお嬢さんでしたのね。高宮さんのお嬢さんは長い間外国でお暮らしになっていらっしゃったのよね?」
よくご存知ですね。
「はい。大学卒業まで海外で暮らしていました。今は日本に帰ってきています」
「そうでしたのね…。こんな綺麗なお嬢さんだと知っていたら家の息子にも紹介したかったですわ~」
「「本当に」」
「…ありがとうございます」
マダムパワーに圧倒されています。
でも、大丈夫かしら?
私は偽装仮婚約者ですから、あまり人に知られない方が後々良いと思うのですが…。
今日のこのパーティーだけでも結構な人数に紹介されましたよ。
有宗さんはモテモテみたいですから、その辺りは気にしないのかしら?
あら?また呼ばれていますわ。
本当にモテますわね…。
私が有宗さんの所に行こうとすると、私の前に1人の男性が立って道を塞いでしまいました。
もう、呼ばれているからすぐに行かないといけませんのに…。
顔を見ると…。
あら?知り合いみたいです。
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