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19. 島岡の彼女ですが…

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「何なんですか?!せっかく私達が誘っているのにその態度…酷いです」

私にはあなたの方が酷いと思えるのですが…間違っていませんよね?

しかも、少し酔っているようですね。

どうしましょう…。

助けるにしても、あの様なタイプの女性は今の私の様な地味な女が彼女として出ていった所で話を止めないでしょうね…。

あ、いい忘れていましたが、大学で心理学も学んで心理カウンセラーの資格もとりました。

なので、セミプロ視点で申し上げます。

あのタイプの女の人に対抗するには…あの人より格上だと思われる人が登場しないと駄目だと考えます。

仕方がありませんね…。

いつも島岡さんにはお世話になっていますし、島岡さんには、頑張って化粧したらこんな顔になりました…と言い訳してみましょう。

急いで近くの公園のトイレに入り髪をほどき、特殊メイクを落とし、薄化粧しました。

島岡さん私が行くまで何とか持ちこたえて下さいよ。

「酷いと言われても私は当たり前の事を言っているつもりですが…」

「島岡さんがこんなに付き合いの悪い人だったなんて…会社の人に言ってやるから!」

「ごめんなさい…お待たせしてしまいましたか?あら、島岡さんそちらの女性達はどなたですか?」

私は地味メイクを一掃し休日の高宮 菫として登場した。

島岡さんも彼女達も口が開いてしまい唖然としている。

いや、島岡さんはダメですよ!

私は島岡さんに目で合図を送った。

気がついて!

「あ…彼女達は僕がお世話になっている取引先の会社の人達だよ」

何とかアイコンタクトの意味は理解して頂けたみたいですね。

「あら、いつも島岡がお世話になっています。私は島岡の彼女の藤堂と申します」

思いっきり絡んでいた女性を見つめながら挨拶をしてやりましたわ。

彼女達はまだ驚いていますわね。

「約束の時間に過ぎてしまいましたわ。早くお店に行かないと…」

私はそう言って島岡さんに張り付いていた彼女達を剥がし、呆然としている島岡さんと腕を組んだ。

「では、皆様失礼いたします」

彼女達を置き去りにして、店の方向へ歩きだした。

彼女達が見えなくなると島岡さんが急に足を止めた。

「あの、ありがとうございました!とても助かりました…所で、どうして私や藤堂のの名前をご存知なのですか?」

ん?気がついて無いんですね。

私は髪をいつものように後ろで1つに結び、横に流した前髪もいつものように目を隠すように戻して見せた。

「え…?え~!!藤堂さんなのか?!」

島岡さんは自分が思ったより大きな声を出したことに気がつき自分の口を手で押さえた。

「すごい…え?本当に?信じられない…」

島岡さんは私をジーと見つめながらブツブツと独り言の様に話している。

この反応を見る限りだと私の特殊メイクの腕も落ちてなさそうね。

学校に通い直さなくてもすみそうだわ。

でも、良かった。

取りあえずは"島岡さん救出作戦"成功みたいね。

これで駄目ならどうしようかと思っていましたから。

その時島岡さんの電話が鳴った。

予約していたお店からみたい。

「取りあえずお店で話そう…」

島岡さんは電話を切ると大きな溜め息を1つついてから私に話しかけてきた。

「はい」

2人でお店に向かいながら、私は先程考えた言い訳を頭の中で復習していた。

これで大丈夫なはず…ですよね?







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