お嬢様は地味活中につき恋愛はご遠慮します

18. 島岡さんのピンチ

日が過ぎるのは年々早く感じますね。

あっという間に島岡さんとの約束の日になってしまいました。

人目があるからお店近くで待ち合わせをしています。

私の方が早く仕事が終わりましたので先に待ち合わせ場所に来ていたのですが…。

「島岡さん、お忘れですか？以前に当社に来て下さった時に今度お食事でも一緒にいかがですか？ってお聞きしたら…機会があればとおっしゃっていたじゃないですか～」

島岡さん？名前が同じなのが気になり声のする方を見てみると島岡さんと知らない女性達が一緒にいた。

先程の会話から想像すると、取引先の会社の人かしら？

それにしても…森本先輩並みの積極性がおありの方ですね。

島岡さんの左腕をがっちり掴んで体を寄せている人もいますよ。

島岡さんの普段の様子からして、あの女性達を無下にできないはずですわ。

ここは、助けるべきなのかしら？

でも、どうやって…。

「すいませんが、今日は人と約束をしていまして本当に急いでいるんです」

あっ、やんわりと断りをいれていますね。

「また～、そんな事をおっしゃって逃げようとしても騙されませんよ～」

今度は違う女性が右腕を掴んでしまいました。

端から見れば美人女性を両手抱えた羨ましいイケメンとなるのでしょうが…島岡さんの顔はひきつっていますね。

「…はあ～、本当の事を言いますね。これから彼女とデートなんです。だから皆さんとは御一緒できません」

おー！

島岡さんが、これまでにない厳しい口調で言いきりました！

ん？でも彼女とデート？

いや、相手は私ですけど…。

あれ…日にちを間違えましたか？

「そう言ったら私達が引き下がると思って…嘘ですよね。もし、本当にデートなら彼女さんと会わせて下さい。彼女さんを見たら帰ります」

女性も引き下がりませんね…余程ご自身に自信がおありなんですね。

「なぜ、僕の彼女を皆さんに御披露目しないといけないのでしょうか？」

私もそう思います。

只の仕事相手にプライベートの事まで口出しされたくないですよね。

「…え～、だって島岡さんはわが社の女性人達の憧れの人なんですよ～。その人の全てを知りたいと思うのが女心と言うか～、ねー」

強者がいますね。

他の女性達はいつもの島岡さんと声のトーンが違う事に気がついて静かになりましたのに…１人空気が読めない方がいらっしゃるみたいですわね。

「僕は芸能人とかではありませんよ。プライベートまで皆さんに教える義務はありません、それに彼女を僕の仕事上の付き合いの人に会わせるのも申し訳ないと思ってしまいますので絶対にできません」

…島岡さんってほんわかした雰囲気の人だと思っていましたが、言うべき時はきっちりと言える方なのですね。

「何よ！ちょっとイケメンだと思って…」

急に空気の読めない女性が怒り出しました。

島岡さん…大丈夫でしょうか。