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6. お見合いですか…

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「お父様お話があります」

待ちに待った土曜日、私は実家に帰省していた。

「なんだい菫ちゃん」

お父様は嬉しそうに私の前のソファーに腰掛けた。

どうやら、お母様は外出しているみたいです。

「お父様…いい加減に子離れしませんか?私も今年で25歳になりますよ。働き出してからもう3年になりましたし、独り暮らしも始めました。良い時期だと思うのですが…」

ニッコリと笑顔でお父様を見ると、お父様は悲しそうな顔をしていた。

「そんな…可愛い盛りの10代の時は海外にいて一緒にいる事が出来なかったし、学校の休みに帰って来ても1か月くらいで…。やっと学校を卒業して一緒に暮らせると思っていたのに、菫ちゃん…独り暮らしを始めちゃうし、僕は寂しいんだよ~!」

あらあら、お父様が号泣してしまいました。

そんなに寂しかったのですね。

でもお父様…今年で54歳になるいい大人ですよね?

「暫く会わない間に雰囲気も変わっていたし、彼氏でも出来たのかと思ってお父さんは不安で…うっ…」

彼氏はいませんが…いてもおかしくない歳ですよね。なぜ不安になるのでしょうか?

「あら、菫ちゃん帰って来ていたのね」

お母様が帰って来たみたいです。

相変わらずスタイルが良いですね。

スタイルと体重は20代の頃から変わっていないというのがお母様の自慢らしいです。

エステによく行っている成果か顔も若く見えます。

実年齢49歳なのですが、どう見ても30代くらいに見えます。

あっ…実年齢を人に言ったことが分かるとお母様に何をされるか分かりませんので、ご内密にお願いします。

あら、大量の荷物を抱えた人がお母様の後ろにいるのが見えます。

「お母様はお買い物に行かれていたのですね」

お母様の目がキラリと光りました。

「そうなのよ!今日は掘り出し物がいっぱいあってね、迷っちゃった~。だから、全部買って来ちゃった」

まるで子供のような表情をしています。

そのお母様の前でまだ泣いているお父様…。

私の両親は少し変わっているのでしょうか?

「菫ちゃんにも沢山買ってきたわよ~」

嫌な予感しかしません。

お母様のお洋服の趣味は私と全然合わないのです。

紙袋から出てきたのは派手な色のお洋服。

地味活では縁の無さそうな色ですね。

普段着でもこれはちょっと抵抗があります。

「それと~、これが一番のお土産ね!」

机の上に置かれたのは閉じられた書類?

「お母様、これは何ですか?」

「ふふ…菫ちゃんにお見合い写真よ」

「「え!?」」

私とお父様の声が同時になりましたね。

「お見合い?何で…何で菫ちゃんにお見合い?」

お父様がお母様を責めています。

「え…だって私が菫ちゃんの歳にはもう結婚して菫ちゃんを生んでいたのよ。こういうのは早い方が良いかと思って友達に頼んでおいたの」

前触れなく突然なんですね。

「でも、まだ早いんじゃない…。最近の子は30歳過ぎたくらいでも…」

お父様がお母様にお見合い写真をそのまま返そうとしています。

「あなた!またそんな事を言って!貴方も孫の顔が見たいって言ってましたよね?このままじゃ菫ちゃんはいつまでたっても男性不信のままで、結婚なんてできませんよ!」

とうとうお母様の雷が落ちました。

お父様は拾ってきた子犬のように小さくなって俯いています。

やはりお母様は凄いですね。

でも、私にお見合いですか…。

…無理ですね。

お母様に何て言ったら諦めてもらえるのかを考えないといけませんね。

さて、どうしましょう…。
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