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85. 祝福
しおりを挟む「「「おめでとうございます」」」
沢山の歓声に包まれて私達は手を振っていた。
あれからも毎日忙しい日々を過ごしているうちに結婚式を迎えてしまった。
当初は結婚に反対する貴族もいたみたいだがクリフ様が説き伏せたらしく今は反対の声も聞こえない。
聞こえるのは国民の私達を祝う声だけだ。
そして…。
「リオン様~!」
そう、お披露目も兼ねてリオンも一緒に国民の前に連れて出ている。
リオンはクリフ様に抱っこされて、機嫌よく手を振っている。
「リオンは賢いね~。そのまま皆に笑顔で手を振るんだよ」
親バカ全開でクリフ様がリオンに話しかけている。
「ん?レオナ、疲れてる?もう下がろうか?」
「いえ、大丈夫です」
いろいろと問題のある私を、王子の相手として認めてくれた国民に初めて会うのだから少しでも長く歓声に答えないといけない。
「レオナ、もっと力を抜いても大丈夫だよ」
クリフ様には私の考えていることはお見通しみたいだ。
「国民はこれからの私達に期待している。過去に捕らわれることはないよ。全てはこれからだ」
思わず泣きそうになっていた私にリオンが手を伸ばしてきた。
「おかあさま…泣かないで」
初めてリオンがおかあさまと呼んでくれた。
更に涙がこみ上げてくる。
私に抱かれたリオンがおまじないをすると言い出した。
「なみださんはバイバイ、さようなら」
そう言いながら私の涙を拭いている。
国民の歓声が更に大きくなった。
リオンが私の頬にキスしたからだ。
「ちょ…リオン。キスはダメ!レオナは私のだからね。さあ、こっちにおいで…」
クリフ様リオンにまで嫉妬している。
空気が和んだおかげで最後までやりきる事ができた。
リオンは疲れたみたいで早くに寝てしまった。
いつまでも寝顔を見ていたかったがそうもいかなかった。
私は大勢の侍女達に囲まれて磨き上げられていた。
全ては今夜の為らしい…。
そう、新婚初夜の為に身体を磨かれ、薄い夜着を着せられ部屋には甘い匂いのお香もたかれている。
もう私達にはリオンがいるのだし今更これは可笑しいと思うんだけど…。
どうやら、クリフ様が全てを手配したらしい。
大勢いた侍女達が仕事を終えて部屋を出ていった。
1人になると急に恥ずかしくなってきた。
薄暗い部屋で身体のラインが透けて見える夜着を着てクリフ様が部屋に来るのを待っているなんて…。
自分の顔を手で覆って恥ずかしさに耐えていたら、クリフ様が部屋に入ってきた。
「どうしたの…手で顔を隠したりして?」
クリフ様はソファーに座っていた私の横に座った。
「いえ、何でもありません…」
私が顔から手を離すと代わりにクリフ様の手が私の頬にあてられた。
「レオナ…もう、夢にしなくて良いんだよね。どんなにこの日を待っていたか…」
「クリフ様…」
私が名前を口にすると、クリフ様が私を強く抱きしめた。
私から離れたクリフ様がソファーから立ち上がり、私に手を差し出した。
私は差し出された手クリフ様の手の上に自分の手をおいた。
繋がれた手を離さずクリフ様は私をベッドの所まで連れて行く。
そして、ベッドに腰掛けたクリフ様が自分の横に座るようにと手でポンポンとベッドを叩く。
私は静かにクリフ様の横に腰掛けた。
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