男装令嬢の願い

78. 真実を話す時

クリフ様が嬉しそう顔をして私の方にやって来た。

私の胸元で気持ち良さそうに寝ているリオンを見て、笑顔になる。

「気持ち良さそうに寝ているね。さっきまでのレオナの様だよ。こうしていると、レオナの子供みたいに思えるよ」

私は真実を言い当てられてドキッとした。

今がクリフ様に本当の事を言うチャンスなのかもしれない…。

私はお姉様の顔を見た。

お姉様は私が何を言おうとしているかがわかったみたいで、私と目線が合うと何も言わずに頷いた。

私は大きく深呼吸をして気持ちを落ち着けた。

「当たっています。リオンは私の子供です…」

「え？！…」

クリフ様の目が大きく見開いて驚いているのがわかる。

「レオナの…子供なのか。本当に？え…でも、レオナは付き合っている人もいなかったよね？えっ、相手は誰なの？私も知っている人なのか？」

クリフ様が混乱しているのがわかる。

疑問だらけで、質問が止まらない。

「驚いて当然だと思います。リオンの父親とは付き合っていたわけではありません。…が、ずっと片思いしていた人です。クリフ様も知っています」

クリフ様も知っています、と話した所でクリフ様の眉がピクッと動いたのがわかった。

「そ、それは…叔父上なのか…」

「アルス様ではありません」

私が首を振りながら言うと、クリフ様はホッとした様子だった。

なぜ、アルス様だと思ったのだろう。

「本当にレオナの子供なのか？だってお腹ぎ大きくなっていたことなんて…あっ…」

途中で思い当たる事が頭に浮かんだ様子だ。

「病気の療養で隣国に行ったのは、妊娠を隠す為だったのか？」

クリフ様は気がついたみたいだ。

「そうです。あの時、どうしてもリオンを産みたくて嘘をついてお休みをいただきました。申し訳ございませんでした」

「いや、それは別に良い。それより、相手が誰なのか気になる…。あの時期にレオナと仲が良かった男…」

クリフ様は相手が誰なのか頭の中で必死に考えている様子でいろんな人物の名前をブツブツと小さな声で言っているのがわかった。

「私はお姉様の所に行った時に階段から落ちてリオンに関する事を全て忘れてしまっていました。思い出したのはつい最近でお相手の方とのこともその時に思い出したのです…」

「それは…誰なんだ。教えてほしい」

クリフ様が私の目を真っ直ぐに見つめている。

「それは…相手の方は私との事をどうやら夢だと思っているので…信じていただけるかわからないのですが…」

「夢だと思っている？何故？…夢…。それって…」

クリフ様が腕組をして考え込んでいる。

「誰か思い付く人はいませんか？」

「１人いる。それは……」

クリフ様…気づいて下さい。