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50. 思い出した記憶
しおりを挟むお姉様から手紙が来た。
内容を読んだら細かく破って燃やしなさい、と書いてあった。
何が読まれたらいけなかったのだろうか?
内容は日付と時間と場所が指定してあって、必ずマリーと一緒にそこに行くようにと書いてあるだけなのに…。
訳がわからなくて、何だか不安になる。
いったいあの書いてある場所でなにがあると言うのだろうか…。
私はお姉様にリオンの事を聞いただけなのに…。
手紙にはその事について何も書いていなかった。
気になる…。
あっという間に当日が来てしまった。
「ねえ、マリーは何か聞いている?」
「マリア姉さんから手紙が来たくらいで…」
「そう…」
話しているうちに指定された宿までやって来た。
「ここね…2階の角部屋に行けば良いのね」
「そうですね…」
何だかマリーの様子が最近沈んでいる様に見える。
私の問題が片付いたら聞いてみよう。
コンコン。
扉をノックすると、中から女性の声が聞こえた。
聞いたことがある様な…。
扉を開けたのは知っている人だった。
「マリア!貴方だったの…」
侍女のマリアがいた。
「お久しぶりです、レオナ様。さあ、中へお入りになって下さい」
部屋にはお茶の準備がしてあり、紅茶の良い香りがしていた。
「ローズティーです。どうぞお飲み下さい」
お姉様が私の為にマリアに持たせたらしい。
「美味しい…お姉様の所でよく飲んだわね…」
「そうですね。レオナ様が気にいっていたから飲ませてほしいと言われていましたよ」
「そう…お姉様…」
気持ちが嬉しい。
「所でどうしてマリアがここにいるの?お姉様の手紙には聞きたかった事が何も書かれていなかったけど…」
「…そうですね。手紙で書く訳にはいかなかったのです。誰かに見られる危険があったので…」
「私はそんなに大変な事をお姉様に聞いたかしら…」
リオンと言う名前の男の子はそんなに秘密にしなければいけないような人物だということ?
「それは…レオナ様が無くした記憶に関係します」
「無くした記憶に…?」
確かに、ずっと大切な何かを忘れている気がしているのは確かなんだけど…。
それと、関係している…。
「本当ならレリア様が来てお話をされたかった様ですがそれだとご両親に気づかれてしまう恐れがありましたので私が来てお話をする事になりました」
両親に気づかれてはいけないような事なのね。
「レオナ様…お腹に傷がありますよね?それは何の傷か思い出せましたか?」
「いいえ。これは階段から落ちた時に出来た傷でしょう…違うの?」
「それは…出産の後の傷でございます」
「え…私が…出産?赤ちゃんを産んだの?」
「はい。あの時は母子共に危険な状態でしたのでお腹を切って赤ちゃんを取り出しました」
「ちょっと待って…赤ちゃん…え…誰との…」
そこまで言って思い出した。
覚えがあるただ1人の人物…クリフ様。
私とクリフ様の子供がいた…。
頭がズキッと痛み出した。
割れる様な痛みに変わっていく。
ガタンッ!
私は椅子から落ちた。
「「レオナ様!」」
薄れゆく意識の中思っていたのは…リオンのこと。
ごめんね…リオン。
貴方は私の可愛い息子だったのね…。
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