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34. クリフ様と…
しおりを挟むクリフ様とお会いする日になった。
屋敷では男装しかできないので、マリーの知り合いの人に家を借りてそこで、この前買ったワンピースに着替えた。
ウィッグをお姉様からもらってきたのでそれを今日はつける。
いつもと違うロングヘアーなので、マリーが髪を綺麗に結い上げてくれた。
久しぶりの女性の姿をした自分を鏡で確認して嬉しくなった。
「とてもお似合いです」
マリーも褒めてくれた。
クリフ様も褒めてくれるかしら?
「レオ様…今日は、リオと名乗って下さいね。それから、外だと人目がありますから、ここで話をしてください。この家は1年契約で借りていますから…」
知らなかった。
「ありがとう…マリー」
「いえ、前から…レオ様が息抜きができる場所を探していたのです。ちょうど、ここの主が隣国に行くことになったので貸してもらえたのです」
私の事をそこまで考えて…。
「私は屋敷に戻ります。奥様に怪しまれますので…。レオ様は仕事で2~3日帰って来ないと言っておきますので、しばらくここでゆっくりして帰って来て下さい」
私はマリーに抱きついた。
「ありがとう…本当にありがとう。大好きよ、マリー」
マリーも私を抱きしめてくれた。
「レオ様…。あまり泣くとお化粧が崩れます。さあ、早く泣き止んでクリフ様に会いに行ってきて下さい」
「…わかった。行ってくるわね」
「はい。気をつけて…」
マリーの借りてくれた家を出てクリフ様との待ち合わせ場所に急いだ。
噴水の広場が見えてきた。
クリフ様が待っているのが見えた。
今日はお忍びなので、いつもと感じが違う洋服を着られている。
何だか、変な感じがする…。
「申し訳ありません。お待たせしてしまいました」
クリフ様は私を見ると顔が赤くなった。
「いや、私が早く来すぎたのだ…。君は悪くない」
照れるクリフ様…見れて嬉かも…。
「申し遅れました。私はリオと申します。商人の娘です」
マリーと考えた設定だ。
「私はクリフと言います。…書記の仕事をしています」
クリフ様も嘘をついてる。
王子だということを隠すつもりなのね…。
「今日は無理を言ってすまなかった。どうしても、もう一度会って話をしたかったのだ…。今日は会ってもらえたことに感謝します」
わー、素敵な笑顔…普通ならこの笑顔で落ちるわね。
「いえ、私こそ…いろいろと条件をつけてしまって申し訳ありませんでした。貴族様に言える立場ではないのに…」
「それは、気にしないでいただきたい。身分は今日は忘れてほしい…」
「…わかりました。では、今日は私の事をリオとお呼び下さい」
私も笑顔を返してみた。
「では、私もクリフと呼んでいただきたいです」
お互いに笑顔で見つめ合った。
これって…もしかして、デートみたい。
だけど…。
私は、このデートでクリフ様に嫌われないといけない…。
考えないといけないわ…。
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