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19. もう1つの悩み事
しおりを挟むお姉様がすぐにマリアに連絡を取ってくれて会うことになった。
トントン…ドアをノックする音がする。
「マリアを連れてきたわよ。入っても大丈夫?」
お姉様だ。
「はい。どうぞ」
お姉様の後にマリアが顔を覗かせた。
「お嬢様…」
「マリア…」
私達は泣きながら抱き合った。
「マリア…元気にしていた」
「はい…お嬢様。お嬢様が生きていて下さって嬉しいです。もう、2度とお会いできないかと思っていました」
そうか、マリアは知っていたのね。
レオナの噂を…。
「亡くなったのは…レオンなの。後は…屋敷に勤めていたマリアなら分かると思うけど…」
「…そうなんですね。想像はできます。ご両親はレオン様を可愛がっていらっしゃいました…異常な程に。私がいる時からレオン様の身代わりをしていらっしゃいましたよね…そうですか…続いていたのですね…」
マリアはわたしの両手をグッと握りしめて涙した。
「申し訳ございません。お守りできなくて…」
「いいえ、マリア…顔を上げてちょうだい。私はマリアに何度も救われたのよ。あの屋敷で私をレオナとして相手してくれる事がどんなに嬉しかったか…逆にその事が原因で解雇されてしまって申し訳ないと思っていたの…本当にごめんなさい」
そんな私達のやり取りを見ていたお姉様が、私達2人の肩をたたいて一言。
「ねえ、そろそろ座らない?」
私達は顔を見合わせて笑顔になった。
「お姉様から話は聞いてくれていると思うのだけど…どうかしらマリア、引き受けてくださる?」
「はい。喜んでお引き受けします」
「ありがとうマリア」
「でも、レオナ様大丈夫ですか?あのご両親に知られてしまうと大変な事になりませんか…」
「そうなの…だからお姉様の所まで来たのだけれど…他には思いつかなかったの」
「そうですか…。私はお嬢様の味方ですからね」
心強い味方が出来た。
これで、産んでからの心配が1つ減ったわ。
だけど、まだ解決しないといけない問題がある。
1年経って帰国したら、婚約者を決めないといけないという事だ。
こんな私の複雑な事情を理解してくれる人なんて、きっといないだろう。
相手を騙したまま結婚なんて…私には無理だ。
どうすれば、回避できるのか…。
「ねえ、聞いているのレオナ?」
いけない…お姉様がお話しをしているのに、考え事に集中していたわ。
「申し訳ありません…少し考え事をしていて…」
「まだ、何か悩み事があるの?もうこの際だから全部話なさい」
「私もお力になれるなら…」
お姉様…マリア…ありがとう。
「実は、一年後に帰国したら、婚約しないといけないのです…女性と…」
「「女性と…?!」」
お姉様とマリアの声が響いた。
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