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7. 現実 〈クリフ視点〉
しおりを挟む目を開けると、レオンが僕の服を乾かしているのが見えた。
「おはようレオン…」
「起きたんですね…。おはようございます。体調は大丈夫ですか?」
「何が?」
「何が?って覚えてないんですか。昨日、雨に濡れて、体調を崩されてガタガタ震えて、大変だったんですから」
「え?そうなの…。覚えてないや…。ごめん」
レオンが驚いた顔をしている。
「信じられない!」
怒らせたみたいだ。
しかし、覚えてないのは仕方ないだろ。
だけど、夢なら覚えている…。
とても、良い夢だった。
しかも、人には言えないような淫らな夢…。
夢なのに不思議と感触や温度がわかった様な気がするんだよね。
もしかして、隠れた願望ってやつなのかな?
本当はレオンのことが好きだから、あんな夢を見たのかな…。
男が好きなのか?
でも、ちゃんと立派な胸があったから…男が好きなわけではないよな。
レオンの事を人間的に気に入っているのも綺麗な男だと思っていることも確かだけど。
でも、夢の中のレオナさんは色っぽくて可愛いかったな…。
喘ぎ声とか頬を赤らめた顔とか…。
駄目だな。暫くはあの夢の中のレオナさん以上の女性に出会える気がしない。
旅は中止だ。
「クリフ様…気持ち悪い顔になっていますよ?何を考えているんですか?」
「気持ち悪いとは失礼な奴だな…。ちょっと昨日の夢を思い出していただけだ…」
何を思い出していたかは、お前には絶対に言えないけど…。
「レオン…火の近くで熱いのか?顔が赤いぞ」
「…そ、そうかもしれません。体調が戻られたのなら、これは消しますね…」
変なレオンだな。
「レオン、旅は中止にするよ」
「え?どうしてですか…」
「体調も崩して迷惑をかけたし、始めからこれでは、この先、良い出会いがないような気がするからね」
嘘はついていない。ただ、夢の話をしなかっただけだ。レオンのお姉さんがあまりにも良かったから…ということを黙っているだけだ。
「そうですか…。その方が良いかもしれませんね。また、体調を万全にして今度は出発しましょう」
「ああ。そうするよ」
城に帰ったらまた、母上に説教されるだろうな…。
嫁を探すと言って無理やり仕事を休んで出発したのに…。
考えると帰りたくなくなるな…。
あ~、本当にレオナさんが生きていたら良かったのにな。そうすれば、嫁探しなんてしなくてすむ。
レオナさんは公爵家の人間だから家格的にも釣り合いがとれて良かったのにな…。
レオンに胸があったらレオナさんだな…。
双子とはいえ、そっくりだったよな。
「クリフ様、どこを見ているんですか?」
「レオンの胸…いや、レオナさんとは双子だから似ていたのかなと思ってさ…」
誤魔化せたかな?
「二卵性の双子でしたけど、顔はそっくりでしたよ…」
レオンが悲しい雰囲気になった。
思い出したくないのかな?
「悪い、変な事を聞いたな。さぁ、もう帰ろう」
帰ってまた、仕事をして、今日も昨日の夢が見れたら嬉しいな…。
だけど…レオンを見ると変な気持ちになるのは夢のせいなのかな…。
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