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9. お母様大丈夫ですか?
しおりを挟む前回はデリムを心理的に揺さぶってみましたが、今回はお母様…アデレイトを心理的に痛めつけたいと思います。
今日は愛人が仕事の為にしばらく屋敷に居ないらしく久しぶりに当屋敷に戻って来ているみたいです。
「お母様、宜しいですか?」
「な、何…何のようなの」
あら?私が発言する前から顔色が悪いみたい。
「お母様、何かあったのですか?顔色が優れませんけど…」
しかも、少し震えているのがわかる。
「何でもないわよ!それより何?!」
すごく苛立っていますね。
これは、絶対に何かありましたね。
「いえ、たいした事ではないのですが…。先日お母様のドレスをだまってお借りしたので、お母様に報告しておかないといけないと思いまして…」
「はあ?なぜ私のドレスをルナが着るの。貴女のドレスがあるでしょう」
やはり、すっかり忘れているようね。
「先日、私の誕生日パーティーでしたが、以前に仕立てた御披露目様のドレスは小さくなり着れなかったのです。新しく作ろうかとも思いましたが、子供の私が持っていたお金では足りそうにありませんでしたので…お借りしました」
アデレイトは、ハッと気がついた顔した後に気まずそうに声色を変えて話を始めた。
「そ、そうだったわね。ごめんなさいね、お母様はどうしても外せない予定があって出席できなかったのよ。プレゼントは何が良いかしら?」
はい、その言葉を待っていました。
「プレゼントはいりません。その代わりに教えて頂きたい事があるのですが…」
「あら、そう。何かしら教えてほしいことって?」
「実は、お父様には言ったのですが最近私の夢に同じ女性が毎日出てくるのです。その方のお名前をお父様にお聞きしたら知らないと言われたのですが…。様子からして知っていらっしゃるのではないかと思いまして。お母様ならもしかして、ご存知かもしれないと考えたのです」
「何て名前なの?」
「キャロル様です」
アデレイトの顔色がまた一段と悪くなった。
「お母様、ご存知なんですね」
私は首を傾げてアデレイトに近寄った。
「し、知らないわよ!そんな女!気持ち悪いから二度とその名前を出さないで!今すぐに部屋から出ていきなさい!」
震えながら私に背を向けた。
もう、嘘が下手なんだから。
部屋を出るとお母様付きの侍女がこっそりと教えてくれた。
因みに、この屋敷の使用人は全員私の味方です。
両親は気がついていませんけどね。
侍女が教えてくれたのは最初に部屋に入った時に感じた顔色の悪さの原因でした。
侍女が言うには、ある公爵夫人のお茶会に招かれて出席していたお母様にシア王子の噂を聞かせた方がいらっしゃったみたいです。
シア王子の噂とは、キャロル様の死亡について何かを探しているらしい…というものだそうです。
周りの方は今更どうされたのかしら?くらいの話で済んだ様ですが、お母様はそういう訳にはいきませんものね。
フフッ…。
これは…シア王子が意図的に流しましたね。
そういえば、あの公爵夫人の2番目の息子さんはシア王子の側近でしたね。
なるほど…。
やりますね、シア王子。
ジワジワと周りから追い詰めていきませんとね。
楽しくなってきましたわ。
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