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44. 訪ねて来たのは…
しおりを挟む「初めまして、ミレーナ様のドレスを作らせていただきますクリオと申します」
「は…い。ドレスですか?」
ドレスなんて頼んでいたかな?
そういえば、もうすぐ第一王子様の婚約パーティーがあるんだった。
リリル様にパートナーとして出席して欲しいと言われていたんだった~!
いろいろあって忘れてたよ。
その為にドレスをプレゼントしてくれるって言ってたからこの人がお店の人なのかな?
「今日はドレスのデザインを決めにやってまいりました。ご希望の色とか形はありますか?」
う~ん、残念ながら引きこもり歴が長すぎて流行は全然わからないんです。
「私…流行に疎くて、お任せしても良いでしょうか?」
クリオさんが驚いた様な顔をしています。
「そうなんですね。貴族令嬢の皆様の流行で宜しいですか?それともミレーナ様に似合う物にされますか?」
私に似合うもの?
「私に似合うものとは、どんな感じになりますか?」
クリオさんはニッコリとしながら鞄の中から何かを取り出した。
「皆様同じ様でも似合う色が違いますし、ドレスの形も体型によって似合うデザインが変わります。ミレーナ様のお肌と髪から見てこの色がお似合いになると思います」
クリオさんがテーブルの上に置いたのは沢山の色の布が貼られているものだった。
色見本ってやつかな。
私に似合う色なんてあるんだ。
知らなかった。
「私の瞳と似た色なんですね」
「そうですね。瞳の色と同じ色でドレスを作り、小物で色を足したほうが良いかと思います」
そうなんだ。
「もしくは…リリル様の瞳の色でドレスを作られるかですね」
リリル様の瞳の色!
「良くあるんですよ。婚約者の方の瞳や髪の毛の色とドレスの色を合わせて作る方」
そんな恥ずかしいことを皆様しているんですか!
知りませんでしたよ。
「どうしますか?」
「…私の瞳の色でお願い致します」
「わかりました。では、次はドレスの形ですね。ミレーナ様はスタイルがよろしいのでこの辺りのデザインなどはいかがでしょう?」
何点かのドレスのデザインを見せてもらった…けど、胸元が開いていたり、ウエストを強調するデザインだったりと私からすれば過激なデザインが多い。
私の反応を見てクリオさんは何かわかったみたいで、違うデザインノートを出してきた。
「おそらくこちらのでさの方がミレーナ様の好みかも知れませんね」
渡されたデザインを見ると、確かに私の好きなデザインかも。
「どれも素敵で迷いますね…」
「では、私に任せて頂けますか?美しいミレーナ様の為に最高のドレスを仕立てさせて頂きますよ」
クリオさんって口がお上手だな。
私は顔を赤くしながらクリオさんに「お願いします」と返事した。
「リリル様には出来上がるまで秘密にしておきますね。リリル様を驚かせましょう!」
クリオさんがイタズラっ子の様な笑顔を浮かべて言った。
リリル様驚いてくれるかな…。
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