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39. キャパオーバー
しおりを挟む「今日はこのくらいにして終わりましょう」
ハアハア…。
息絶え絶えで倒れるかと思いましたよ。
ピンヒールなんて履かなくても良くないですか?
あんなのを履いていたら小さな穴にはまって抜けなくなって転けたりしませんか?
誰ですかあんな凶器を作成した人は?
脚も生まれたての小鹿の様にプルプルと小刻みに震えています…。
日頃の運動不足のせいですね。
淑女の皆様は意外と筋肉があるということなんですね。
『ミレーナ、脚震えてる。寒いのか?』
「あっ、違うのよビリーちゃん。あれは日頃の運動不足のせいで震えてるのよ。心配しなくて大丈夫だからね」
息が切れて答えられない私に代わりリリル様が嬉しそうに答えてくれています。
なぜ、嬉しそうな顔をしているのでしょうか?
リリル様って少しサドっぽい所がありますよね…。
いや、少しではなくてドSかも…。
普段は優しいんだけど、たまに見せる顔は少し違うと言うか…。
本当に不思議な人だな。
「ミレーナ、靴を脱い踵を見せなさい」
「え?!いや…なぜですか」
汗をかいて靴の中は蒸れていて臭いがするかもしれないのに…。
靴を脱いでリリル様に見せるなんて無理ですよ。
そう思って靴を脱がずにいると、リリル様に脚を持ち上げられて靴を脱がされた。
「ちょっ…!何をするんですか!?」
恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にしながら言った。
「ほら、やっぱり…。履き慣れないと靴擦れができるのよね。今から手当てするから待ってなさい」
「へ?!」
靴擦れですか?
そういえば痛いな~とは思っていましたが筋肉痛もあるので気にしていませんでした。
リリル様はこうなる事を予想していたのかレッスン室に処置に必要な物を用意していたみたいです。
「ちょっと痛いかも…」
リリル様はそう言った後に私の踵に何か液体をかけました。
「ツ!」
ズキッと痛みを感じます。
いやそれよりも…。
今のこの2人の姿…恥ずかしすぎます。
スカートを少しまくりあげて、リリル様が膝まずき私の脚を掴みあげているんです。
イヤー!
しかも今はリリル様の息を踵に吹きかけられています。
生暖かいリリル様の息を踵に感じて恥ずかしさがMAXになります。
『ミレーナ…顔が赤い。熱出たか?』
ビリー様変な事を言わないで!
「え…やだ本当に真っ赤になってる。大丈夫?」
踵の処置を終えたリリル様の顔が今度は私の顔に近づいて来ます。
「手は消毒液がついてるかもしれないから、ちょっとごめんね…」
そう言って、リリル様の額と私の額をコツンと重ねました。
ヒエ~!リリル様の顔ドアップ!
睫毛長いし、良い匂いがしますよ。
でも…限界が近いかも。
「ん?大丈夫そうね」
バタン!
「え?ミレーナ!どうしたの?」
私はキャパオーバーでその場に倒れてしまいました。
いくら、リリル様は大丈夫と言っても男性に免疫が無さすぎる私には刺激が強すぎでした。
『ミレーナ…男性苦手。治ってなかった』
「やだ!すっかり仲良くなれたと思って忘れてたわ。ごめんなさい…」
その後リリル様が私の部屋までお姫様だっこで連れて行ってくれたとビリー様が後で教えてくれました。
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