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5. リリル様登場
しおりを挟む思い出した黒歴史…。
出来ればもう少し心の準備をしてから来たかった。
そう、もう来てしまいました。
「お久しぶりです公爵様。お元気そうで何よりです」
公爵様は年齢を感じさせないです…あれから10年以上経っていますよね。
前にお会いしたときとあまり変わらないような…。
「久しぶりてすね。お嬢さんはすっかり女性らしくなられたね」
「お久しぶりです公爵様」
眩しいほどの笑顔で私を見ています。
「いやー、娘達のほとんどが嫁にいってしまって寂しいと妻と言っていたからミレーナさんが来てくれると嬉しいよ」
そうか…お姉様達はいらっしゃらないのか。
「こちらこそ、すいません。急なお願いを快く引き受けてくださって感謝しております」
お父様達は私の事を話しているみたい。
その時部屋の扉のノックの音が聞こえて入ってきたのは…。
「失礼します。お呼びとお聞きしましたが…」
ビリー様にも劣らないハスキーなイケメンボイスに中性的な顔立ちのスーパーイケメン様。
誰…この人。
「来たか。私の息子リリルです」
ん?前に息子さんとはお会いしてないかな?
それにしても…肌は女性顔負けのつや肌で色白で髪は綺麗なプラチナゴールドに瞳は薄いアメジスト色…人形みたい。
あれ?
プラチナゴールドの髪アメジストの瞳…あのお姫様みたいなお姉様と同じ?
私はまた口を開けて見とれてしまっていたみたい。
「おいミレーナ、口、口が開いてる」
お父様が小声で私をつついてきた。
いけない、幼い頃から成長できてないみたいに思われる。
チラッとリリル様を見ると、笑いをこらえていた。
恥ずかしい…。
「当家はいつから来ていただいても構わないよ。ミレーナさんの相手はこの息子にさせるからね」
「次期当主自らですか…それは…申し訳ないです」
公爵様は笑いながら胸の前で小さく手を振った。
「いやいや、行儀見習いは息子に任せるのが一番なんだよ。息子は沢山の姉達が教育されるのを近くでみていたから、いつの間にか身に付いてしまっているみたいでね…娘達も息子くらい覚えてくれれば良かったんだけど…」
公爵様、最後は愚痴みたいになってますよ。
お姉様達はお転婆さんだったのかな?
だけど男性のマナーの先生なんてこの国では珍しい。
「そういえば、息子さんは何歳になられたのですか?」
お父様、急にどうした?
「私は今年で24歳になります」
私より8歳年上か…。
「ほう…そうですか。婚約者はお決まりですか?」
お父様…変な事を考えていませんか?
家は侯爵で家格が下ですよ。
こちらのほうから婚約のお願いなんて間違ってもしないで下さいよ…とこころの中で思いドキドキしていた。
私は女としてもリリル様の横に立つ自信はありませんからね。
「残念ながらまだ運命の人とは出会えていないのですよ」
リリル様がにっこり笑って返答された。
後光が見えるのは気のせいかな?
「本当に当家の一番のなやみなんだよ。モテないわけではないみたいだが…本人に結婚する気が無いみたいでね…早く跡継ぎが見たいんだがね」
公爵様がまた愚痴っています。
「そうだ…ミレーナさん、良かったら息子の婚約者なんてどうかな?」
えええーーー!!!
ムリ、むり、無理です。
冗談ですよね?
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