73 / 86
73. 誰?
しおりを挟む『まさかこれが役にたつなんて思ってなかったよ…。』
『本当にな。』
翡翠は少し馬鹿にしたような言い方だ。ムカつくけど言い返せない。
それは以前に俺が会長に龍がついているのを忘れて龍をつけようとして怒らせた時に作った龍のついている、いないを記した生徒名簿が今回は役にたったからだ。
銀色の龍にその名簿を見せて確認をしたんだよ。本当にまさかだよね。
だから、翡翠に馬鹿にされても仕方ないことをしでかしたんだからここはグッと我慢することにする。
もうあんな過ちはしないようにと気を付けています。はい…。
話がそれたね。え~と銀色の龍は長話をしていた時に俺に『龍達についてもらうにもターゲットがわからないと別の奴につくかも知れんぞ。』って言ってきたので『それなら良いのがあります。』って名簿を差し出したんだよな。
失敗から得るものがあって本当に良かったよ。
おかげで今は順調にいっています。
大谷くん達の食べたキノコの毒に効く薬も分かって飲ませたよ。今はすごい元気になって以前のように走り回ってスクープを探しているみたい。
毒キノコについても記事にしていたのには驚いたけどね(笑)見出しも"龍の呪いは毒キノコのだった!!"って書いてあったしね。商魂たくましいとはこのことだよ。
俺はというと今日は久しぶりに家族に会えるので緊張している。半年ぶりくらいになるのかな?
なぜ家族に会えるかって?
それは今日は学園の文化祭だから!
大谷くんが忙しそうにしていたのは今日に向けて新聞部の活動をしていたからなんだよね。
俺はなにもしていない…一応は生徒会の一員だけど、他の人達が優秀で特にすることもないからクラスの模擬店を手伝うことになっているんだ。本当は気がすすまないんだけど…。だってさ…クラスでは女装カフェをすることになっているんだよね。誰が提案したんだか…。
男ばかりの学園生活だからこうなるのは仕方がないのか?これは異世界でも変わりはしないんだな。
もちろん俺も女装させられている。こんな姿を姉さん達に見られたらどうなるか…。想像するだけでも恐ろしい。家族に宛てた手紙には両親だけで来て欲しいと書いたけど大丈夫かな…心配だ。
「八岐くん、似合いすぎじゃないか?」
佐藤くんが上からしたまでじろじろと至近距離で見ている。佐藤くん、近すぎるよ。
「そんなことはないよ。佐藤くんは…。」
…全然似合っていない。何故だろう男らしさが逆に際立っているような感じさえする。
「俺は全然似合わないな(笑)」
豪快に仁王立ちで笑っている佐藤くんは格好いいようにさえ見えるよ。でも、下はスカートだから気をつけてね。
「おっ、見ろよ。アイツも八岐くんと同じで似合ってる…というかアイツ…美少女過ぎないか?誰だ?」
佐藤くんの口があんぐりと開いている。無理ないな。目の前に現れたのは可憐な美少女にしか見えないよ。男だと知っていても見てしまうほどだ。
肌は白く手足はスラッとしていてパッチりとした青い瞳に唇はピンク色で可愛らしい。髪の毛はカツラかな金色のロングヘアーだ。
本当に誰だ?
クラスの人に間違いはないと思うけど、あんな感じの美少年なんてこのクラスにいたかな?
「聞いてこようかな。」
佐藤くんが知りたいのを我慢できずに聞きに行くらしい。俺も知りたいので黙って頷いた。
頼んだ佐藤くん!
「あっ、いたいた。」
佐藤くんが美少女に聞きに行こうとした時、美少女の方から俺達の方にやってきた。
あれ?もしかして…。
「は~、やっとクラスに戻れたよ。」
この声は聞き覚えが…。
「「大谷くん!?」」
俺と佐藤くんは2人で大声を上げてしまった。
そうだよ。見慣れすぎていたけど大谷くんってかなりの美少年だったよ。
「え?!何…もしかして2人も僕だと分からなかったのか?」
2人もと言うということは他の人も分からなかったんだな。当然だと思うよ。
化粧のせいもあるとは思うけどかなりの美少女に仕上がっているからね。それこそミスコンでもあれば優勝するんじゃないかというくらいのレベル…いや、学祭に来た知らない人がナンパするんじゃないかというくらいのレベルだよ!
新聞部はどうしたのかな?
「え…何で。新聞部は良いのか?」
佐藤くんが相変わらずストレートに聞きましたね。
「うん。一段落したから抜けてきたんだ。僕だってクラスのみんなと楽しみたいからね。」
美少女の笑顔が眩しいです。クラスのみんなも大谷くんと分かっても見とれています。これって危ない扉を開きかけてない?
「何かさ~、この教室に来るまでも周りの視線が変な感じなんだけど…なんでかな?そんなに似合ってない?」
いや、逆だよ!似合いすぎてみんながポーとなっているんだって!
「大谷くんの美的感覚って…。」
さすがの佐藤くんも何も言えなくなっている。
「変だな~。家の母親にそっくりだからいけるかと思っていたんだけどな…。やっぱり脱ごうかな。」
「「「いや!そのままで!!!」」」
クラスのいろんな所から止めにはいる声がしたのは言うまでもない。
0
お気に入りに追加
60
あなたにおすすめの小説
『特別』を願った僕の転生先は放置された第7皇子!?
mio
ファンタジー
特別になることを望む『平凡』な大学生・弥登陽斗はある日突然亡くなる。
神様に『特別』になりたい願いを叶えてやると言われ、生まれ変わった先は異世界の第7皇子!? しかも母親はなんだかさびれた離宮に追いやられているし、騎士団に入っている兄はなかなか会うことができない。それでも穏やかな日々。
そんな生活も母の死を境に変わっていく。なぜか絡んでくる異母兄弟をあしらいつつ、兄の元で剣に魔法に、いろいろと学んでいくことに。兄と兄の部下との新たな日常に、以前とはまた違った幸せを感じていた。
日常を壊し、強制的に終わらせたとある不幸が起こるまでは。
神様、一つ言わせてください。僕が言っていた特別はこういうことではないと思うんですけど!?
他サイトでも投稿しております。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
ハズレスキル【分解】が超絶当たりだった件~仲間たちから捨てられたけど、拾ったゴミスキルを優良スキルに作り変えて何でも解決する~
名無し
ファンタジー
お前の代わりなんざいくらでもいる。パーティーリーダーからそう宣告され、あっさり捨てられた主人公フォード。彼のスキル【分解】は、所有物を瞬時にバラバラにして持ち運びやすくする程度の効果だと思われていたが、なんとスキルにも適用されるもので、【分解】したスキルなら幾らでも所有できるというチートスキルであった。捨てられているゴミスキルを【分解】することで有用なスキルに作り変えていくうち、彼はなんでも解決屋を開くことを思いつき、底辺冒険者から成り上がっていく。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
子育て失敗の尻拭いは婚約者の務めではございません。
章槻雅希
ファンタジー
学院の卒業パーティで王太子は婚約者を断罪し、婚約破棄した。
真実の愛に目覚めた王太子が愛しい平民の少女を守るために断行した愚行。
破棄された令嬢は何も反論せずに退場する。彼女は疲れ切っていた。
そして一週間後、令嬢は国王に呼び出される。
けれど、その時すでにこの王国には終焉が訪れていた。
タグに「ざまぁ」を入れてはいますが、これざまぁというには重いかな……。
小説家になろう様にも投稿。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる