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44. 画期的なアイデア?

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「会長…私も初めて聞きましたけど一体どういう風に変更するつもりですか?」

 一条先輩が不安げに発言している。

「そうだったか?お前にも言っていなかったか。」

 会長と一条先輩は何でも話し合うような間柄なんだな。

「まあ、楽しそうだから良いじゃないか。」

 副会長は楽しそうだな。

「内容を聞かせて頂かないと何とも言えませんよ。詳しい説明をお願いします。」

 一条先輩は副会長を睨みながら言った。ここはあまり仲良くないのかな?

「そうだな。入ったばかりの一年生は知らないと思うが例年の新入生歓迎会はパーティー形式で飲み食い自由で、各学年の代表が挨拶をするだけなのだが、それではつまらないと思ってな…。」

 俺にはそれで十分ですよ。変える必要ないです。

「具体的にはどう変えるのですか?」

 一条先輩…厳しい。

「具体的には各学年代表だけではなく、全員が参加できるものにしたいと思っているんだ。」

「それもまだ曖昧ですね。もっと具体的に全員が参加できる何をするのですか?」

 一条先輩は怒ってるのか?

「あ~、それは…皆で考えようかと…。」

 会長が一条先輩を見ながら気まづそうにしている。

「はぁ~、やっぱりですか。今更準備する期間がありませんからね。道具などを使わない、経費もかからないものにしてくださいよ!」

 うん、理解できたよ。ここでは一条先輩が一番権力を握っているみたいだね。気を付けよう。

「わ、分かっている。」

 難しいと思うんですけど…本当に分かってますか。

「お金をかけずに…。」

「時間も、もうないぞ。」

「何も思い付かんぞ。」

「いつもので良いんじゃない?」

 先輩方はヒソヒソと話している。そうだよね、俺もそう思います。

 前世で新入生歓迎会といったら思い付くのはビンゴ大会とかしないけど…もちろんこの世界にはビンゴなんて無いしな。

「皆さん、何かアイデアはありませんか?」

 一条先輩が皆を見回して聞いているが誰も発言しない。このままでは終わらないと思ったのか先輩は一人1つ出してくれと言い出した。

「まずは会長からどうぞ。」

「お、俺からか?!」

「当たり前でしょ、言い出したのは貴方なんですから。」

 一条先輩怒らせるとダメな人だ。

「そうか…。そうだな。それじゃあ…うん、あれだ。」

 最初に感じた厳つい感じがだんだんと薄らいできたな。

「はぁ~、本当に何も考えていなかったんですね。まったく…後で話し合いですね。会長は最後に回します。次は副会長、お願いします。」

 その変わりに優しい一条先輩のイメージがどんどん変わっていくよ。

「俺?う~ん、武術大会?」

 ここは武術系の学校では無いですが?なんなら正反対だと思いますけど武術ですか?

「俺も賛成だ。」

 副会長の意見に賛成したのは隣国の王子ペリーだ。相変わらず口の聞き方は王族口調なので偉そうだな。この学校は身分平等を唱えているからそれは通用しないんだけどな…。

「申し訳ありませんが、却下です。」

 一条先輩はまたため息をつきながら直ぐに却下した。

「何故だ!?」

 ペリー王子が喰い下がる。

「この学校では身を守る為に多少は武術を習いますが、基本的に戦うことは禁止とされているからです。」

 ですよね。俺もそれは知っていますよ。生徒手帳に書いてありましたからね。王子は読んでいなかったのか。それとも知っていて発言したのかは知らないけど。

「あ…そうだったな。すまん。」

 副会長は笑いながら頭を掻いている。この人も分からない人だな。読めないと言うべきか?

 王子も黙ってしまった。

「他…次は誰にしますか?誰でも良いですよ、アイデアがある人はいませんか?」

 一条先輩のストレスがたまってきているな。良いアイデアとは言えないかもしれないけど、1つは頭に浮かんでいるんだよね。

 俺は小さく手を上げた。

「おや、八岐くんは何か思い付いたのですか?」

「あの…大したことではありませんが、ジャンケン大会なんかどうですか?」


「「「「「ジャンケン大会?」」」」」

 先輩方は一斉に俺を見た。

「それはどういうものですか?」

 この世界ではこれも無いのか…。しまったかな。

「え~とですね、まずは人数が少なくなるまで会長対生徒全員でジャンケンをして会長に勝った人だけを残していきます。ある程度人数が少なくなると残った生徒同士でジャンケンをさせて最後まで勝って残った者に景品をプレゼントするという遊びです。」

「「「「「………。」」」」」

 静まり返る会議室。居たたまれないな。俺は失敗したのか?これはこの世界では受け入れられない遊びだったのか?

「…素晴らしい!それなら経費もあまりかからないし学年も関係ない。運だけだ!」

 一条先輩が驚きの表情で俺を見ている。さっきの沈黙は驚きの沈黙だったのか。

「そんなのは聞いたこともないが面白そうだ。」

「確かに画期的なアイデアだ。」

「そんな事をよく思い付いたな。」

「何か貰えるのは嬉しいな。」

「俺…ジャンケン弱いんだよな。」

 先輩方は相変わらず小声で自由に話している。

「フン!そんな子供だましか!」

 発言したのはペリー王子だった。



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