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23. 女王陛下の提案 〈サファイア視点〉
しおりを挟む「私が今日ここに来たのは…このお腹の子を神様からのお告げの子として発表しようかと思っているの」
女王様が私のお腹を触りながら言った。
「どうしてですか?」
「サファイアも知っているようにこの国でのアデルちゃんの立場は弱い…。今だに王に相応しくないと言ってくる貴族もいる。残念だが、いつまた王族を巻き込んだ争いが起きるかも分からない状態なのだ。そこで、これ以上争いがおきないようにアデルちゃんの地位を確かにする必要があるの…」
それは分かります。
アデル様のお父様が神様だということはトップシークレットだ。
この国の貴族の中には貴族ではないから父親を明らかにできないのだろうと言う人達も今だにいるのは知っている。
「それと、この子とどう関係するのでしょうか?」
女王様の表情が少し緩んだ。
「父親がアデルちゃんに言った話を聞いたかしら?」
「はい、この子がこの国の偉大な王になる…と言われたのです」
「そう、それをそのまま国民に伝えようと思っているの」
あっ…そうか。
「分かりました、王になる子供を授かったのは親が王様だからだと言うおつもりなのですね…」
女王様は笑顔で頷いた後、お茶わ一口飲まれた。
「理解してもらえて良かった…。たぶんアデルちゃんは家族を危ない目に合わせたくないとか言って反対すると思うの、だから先に貴女に言った方が良いと思ってね」
「そうですね…、アデル様ならきっと反対されると思います。あっ…」
私はお腹を擦って会話を止めてしまった。
「大丈夫か?」
女王様が心配して側に来て下さった。
「大丈夫です。その…サファルが私に話しかけてきたものですから…」
「何?!何と言ってきたのだ」
「『ぼくがおかあさまもまもるよ』と言ってきました」
「ハハハ…頼もしい孫だな!」
女王様が声高に笑いながら私のお腹を触っている。
そこに猛スピードでアデル様がやって来た。
「ハアハア…一体何をしているのですか?」
肩を揺らし息を荒くしてアデル様が女王様を睨んでいる。
「仕事はどうしたのだ?」
確かに…お仕事がたまっていると言ってましたよね。
「片付けてまいりました」
息を整えたアデル様がどうだ!と言わんばかりに胸を張って言っている。
「はあ~、そんな事ができるなら何故普段からやらないのだ…」
その通りですね…。
「今回は緊急事態なので…。いつもはできません」
アデル様は私の所にやってきて、お腹を触っていた女王様の手を払いのけた。
「アデル様…?」
「お前は本当に心の狭い男だな…。母親にも触らせたくないのか?」
アデル様は私をきつく抱きしめて何も言わずに頷いている。
「はあ~…、もう話しは終わったからこれで帰るとするよ。サファイア身体に気を付けてな…」
「はい、ありがとうございます」
さあ、後はアデル様に何と伝えるか…だよね。
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