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2. 僕の兄弟達
しおりを挟む「はあ~、何でこんな仕事が多いんだ?」
気のせいなのか、やってもやっても書類の山の高さが変わらない気がするんだけど。
「アデル様が王位を継ぐためでございます。まだまだ残ってますので弱音を吐かず済ませて下さい」
僕のお付き、サファイアに言わせれば秘書というらしいヘルドが厳しい眼をして仕事を促している。
「わかっている。早く終わらせないと今日もサファイアに会えない…」
サファイアと結婚する前の親族の話し合いで僕が王位を継ぐことになったのだが…やっぱり断れば良かったよ。
こんなに忙しいとサファイアに会える時間が少なすぎるじゃないか!
それに最近気になる動きもあるしな。
この国には僕を含めて3人の王子がいる。
僕、アデルが長男で僕の下に弟が2人いるのだ。
本来なら長男の僕が王位を継ぐのが良いと考えられるのだが、実は僕には出生の秘密があり貴族達はそれが気にいらないらしく、僕が王様になるのを嫌がる者が多いのだ。
僕の出生の秘密とは父親が誰か分からないと言うことだ。
母上と僕と弟のオルハは知ってるんだけど…。
この国は僕の母上が女王として治めている国で、母上は相手が誰かは誰にも言わず僕を産んだ。
本来なら王子の誕生は喜ばしい事なのだが、相手が誰かが分からないため貴族達は僕の誕生を喜ばず、新しい伴侶を貴族達の中から選ぶ事を母に懇願した。
母上はそれを受け入れて貴族の男性と結婚し、弟達が産まれたのだ。
貴族達は僕の弟達のどちらかに王様になってほしいと思っている様子で、僕が王位を継ぐと分かった途端に水面下で動き出した。
お陰で僕の仕事量は山のごとしだよ…。
やっぱり王様になりませんって言おうかな~。
あっ、でもすぐ下の弟のオルハは僕の父親が誰かを知っているからな~、絶対に王様にはならないとあうだろうな…。
じゃあ、一番下の弟のオズに言ってみるか。
面白そうだな。
アイツなら王様になりたいと言ってくれそうな気がする。
オズなら父親も貴族の出身だし文句は出ないだろう。
オズが王様になれば僕はゆっくりとサファイアとの時間を楽しむことができるし、これって一石二鳥じゃないか?
ただ…アイツに国を任せても大丈夫なのかという不安はあるがな。
今はヤンチャで母を困らせているみたいだが、歳を取れば落ち着くだろう。
まあ、兄のオルハが何とかしてくれるだろう。
オルハは賢くてしっかりしているからな。
あれ?そう考えたら何だかやる気が出てきた。
さっさと仕事を終わらせてサファイアに会いに行かないとな。
時間があれば久しぶりにオズに会いに行ってみるか。
いや、先に母上に言わないとネチネチと嫌味を言われるかな…。
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