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16. アフターケアー その後1
しおりを挟む「大丈夫ですか?」
「…はい」
険しい山道を登っているのですが久志さんの息がかなりあがっているようです。体力不足ですね。だから、来る前に確認したのですが…。
いつもは私一人でお客様の転生後のアフターケアーにいくのですが、今日は久志さんがどうしても一緒に行きたいとおっしゃるので2人で来ています。
まあ、幼馴染み達が気になるというのは理解できます。…が、お2人が転生した場所は山奥の村ですので、体力がないときついですよ…とは説明したのですがね。
「はぁ、はぁ…もうすぐ着きますか?」
「そうですね。もう見えてきてもおかしくないと思いますよ」
久志さんが嬉しそうな顔したのがわかりました。やはり、かなり体力的にキツかったんでしょうね。
森の先が少し開けていてその少し先に建物らしきものが見えてきましたよ。
村の入口には門があり人が立っているみたいですね。こんな山奥なのにセキュリティーがしっかりしているんですね。
「おや?あれは…」
門の所に立っていた人物が我々に気がつき手を振っています。
「お~い!久しぶり~!」
相変わらずお元気そうなタガー様が笑顔で我々を出迎えて下さったみたいです。
「はぁ…変わってないな…」
ため息混じりで久志さんが呟いたのは聞かなかったことにしましょう。
「今日はどうしたんですか?何かあったんですか?」
矢継ぎ早に質問してくるタガー様に久志さんが止めに入ります。
「落ち着いて!スピカさんが驚いているじゃない」
「え?!あっ、すいません」
頭を掻きながら謝るタガー様に怒りながらも優しい眼差しを向ける久志さん。やはり思いは消せませんね。
「本日は転生後に何か問題が無いかと様子を見に来させていただきました」
「俺達の様子を見に来てくださったんですか?」
「はい」
「あ、少し待ってもらえればお弁当を届けに薫が来ると思います」
相変わらず仲良くされているみたいですね。
「お弁当を…。2人は一緒に暮らしてないの?」
久志さんは意外そうな声をあげています。
「いや…一緒に暮らしているんだが、薫が朝が弱いから後で弁当だけを持って来てもらっているんだ」
「なんだ、そうなのね」
噂をすればなんとやらでカオリーナ様が大きな荷物を持って現れました。
「あら?叶ちゃん!?」
「薫ちゃん!」
2人は顔を会わせた途端に抱きあいました。
「「久しぶり~!!」」
タガー様の時とは違いますね。
「俺の時と差がないか?」
ほら、タガー様が拗ねてますよ。
「当たり前よ。可愛い薫ちゃんとの再会とあんたとの再会が同じな訳がないでしょ」
久志さん…幼馴染みとしてはその言葉使いでもよいかと思われますが職員としては…ねぇ…。
「久志さん、お仕事ですよ。」
「あ、すいません!」
久志さんは、カオリーナ様から身体を離して直立不動になりました。
やれやれ、これでやっと本題に入れそうですね。
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