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13. 帰って来ましたが…

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「いませんね…。」

 異世界転生案内所と宿泊棟をくまなく探してみたが久志さん達の姿が見つかりませんでした。

「どこにいったんでしょうか…。何か言っていませんでしたか?」

 田上さんは久志さんと仲良くしていたみたいに見えたのですが何も聞いていないのでしょうか?

「特には…。知り合いと出掛けてくるとは聞きましたが…。」

「それはいつのことですか?」

 私は初めて聞きましたよ。

「昨日の夕方でした。」

 もしかしてそれから帰って来ていない?

 ここは地上と違い天界に近い場所なので危険もないとは思いますが…何かあったのかもしれませんね。

 久志さんは少し働いてもらっただけですが真面目な人だと感じましたので無断で居なくなるとは思えません。

 だとすると考えられるのは予想していなかった事が起きて帰ることが出来ない…という可能性ですね。

 探しに行った方が良いかもしれませんね。しかし仕事を休む訳にもいきませんし…。毎日お客様はいらっしゃいますからね。

 来たばかりの田上さんを1人にするのも心配です。しかたありません、仕事が終わってから探してみましょう。


 何とか1日の業務を終えようとしていると扉を開ける音がします。

 予定にはないお客様かと思い入り口の方を見ると…そこには久志さんと久志さんと一緒に姿を消したお客様とそしてもう1人…男性の見たことがない人がいらっしゃいます。

「久志さん!心配していたんだよ!!」

 私よりも先に声を出したのは田上さんです。

「無断でお休みしてすいませんでした。まさか…こんなに時間がかかるとは思っていなくて。すぐに帰って来ることができると考えていたのです。」

 いったいどこに行っていたのでしょうか。

「…無事に帰って来られて安心しました。それでそちらこ人はどなたでしょうか?お客様なのでしょうか?」

 一緒に案内所に入ってきた男性は茶色い髪に黒い瞳で日本人のように見えます。何より久志さん達と知り合いの様子で久志さんと一緒に消えていたお客様が話しかけていますからね。

「あっ、はい。私の知り合いなんです。この人を探しに行ってたんです。」

 どうして転生しに来ることが分かったのでしょうか?しかも場所までわかっていたということですよね。不思議です。

「すいません!後日、きっちりと説明しますので今日は部屋に戻っても良いですか?」

 そうですね。疲れているみたいですし今日はもう休んでもらう方が良いかもしれませんね。

「分かりました。では後日ゆっくりとお話を聞かせてくださいね。お部屋はどうしますか?男性は別のお部屋を準備しましょうか?」

 3人は顔を見合わせて相談しています。

「いえ、3人で話をしたいので一緒で良いです。布団だけお借りします。」

「分かりました。」

「本当にすいませんでした。」

 久志さんは私に深々と頭を下げて謝った後、部屋に向かった。

 謎ですね…。

 転生したいと思った友人がこの場所に現れると分かることがあるなんて聞いたことがありませんよ。

 まあ、明日ゆっくりと話を聞かせてもらいましょう。




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