6 / 20
6. 新人神様に注意
しおりを挟む「ペナルティーでもつけますか?最近やりすぎですよ。」
私は大きくため息をつきながら話している。相手に反省の色が全く見られないからだ。金色の美しく輝く長い髪を触りながら、薄紅色の形の良い唇を尖らせて先程から文句ばかり言っている。
「いや~、だって天界は退屈すぎるんだよ。だから、人間に遊んでもらっているだけなんだけど…。なんでだめなの?」
本当に…神様って人間を何だと思ってるんでしょうかね。
「人間は突然殺されて異世界転生される事を遊んでいるとは思いませんよ。楽しくはありませんし、涙を流される人の方が多いです。遊ぶなら他でお願いします。」
「え~!!!他にって言ってもな~。」
これほどまでにお話が通じないとは…。これはあの方の名前をちらつかせたほうが宜しいのでしょうか。
「このままですとハデス様にお会いしていただくことになりますが…宜しいのですか?」
私は偉大なる冥府の神様の名を口にした。
「え…、ハデス様。いや…暗いとこは苦手だし…。」
やはりハデス様のお名前は皆さん知っているのですね。すぐに顔色が変わりましたよ。
「しかしこのままですとハデス様に会っていただくことになりますので、冥界に行っていただかないといけません。もちろん、拒否権はありませんよ。」
私は笑顔で凄んで見せた。
「待てよ…私みたいな新人の神にまで時間を使えるような方ではないと思うんだけど。分かった!それって嘘だよね。」
は~!!!本当にこの神様はどういう考えをしているのでしょうか!疲れが倍増してしまいますよ。
「嘘ですか…では試されますか?すぐに連絡を取りますのでお時間は取らせませんよ。ケルベロス様がすぐにお迎えに来てくださると思います。」
相手の神様の顔がひきつっています。
「え…ケルベロス。え?本当に、本当なの?」
ケルベロス様とはハデス様が可愛がっていらっしゃる、頭が3つで胴体が1つのお犬様の事です。下界では冥府の番犬とも言われているみたいですね。
「私は嘘など一度も言っておりません。真剣にお話をさせていただいております。」
やっと信じたのか顔色が悪くなりましたね。
「まだご存知無いのかも知れませんが、ここ異世界転生案内所は古来からの神々が作られた場所です。私は神ではありませんが古来からの神々から色んな権限をいただいております。ですから立場的に言えば古来の神々の代弁者だと思ってください。」
「そんな…。」
「古来の神々は今の状態を憂(うれ)いていらっしゃいます。それに…。」
これは言うと脅しになってしまうかもしれませんね。止めておきましょう。
「何?途中で止めると気になるから言って!」
「しかし…。」
「お願いします。」
神様にそこまで言われたら仕方ありませんね。
「新しい神々の審査が必要だなと申されていました。神に相応しくないと判断したら人間にしよう…みたいな事も言われていましたね。」
「ひぇ~!!嘘!そんな…。真面目にします。しますから古来の神々に報告しないで~!」
神様が涙目になってすがり付いてきます。そんなに人間になるのが嫌なんですか?
「分かりました。しかし、今度同じことをしたら直ぐに報告しますからね。」
「分かった。」
神様は頭をアカベコの様に上下に素早く振って頷いていらっしゃいます。
「では、これで失礼させていただきます。もう、お会いすることが無いことを祈っています。」
神様への注意がやっと終了しました。これで本当に最後にしてくだされば良いのですが…。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】家庭菜園士の強野菜無双!俺の野菜は激強い、魔王も勇者もチート野菜で一捻り!
鏑木 うりこ
ファンタジー
幸田と向田はトラックにドン☆されて異世界転生した。
勇者チートハーレムモノのラノベが好きな幸田は勇者に、まったりスローライフモノのラノベが好きな向田には……「家庭菜園士」が女神様より授けられた!
「家庭菜園だけかよーー!」
元向田、現タトは叫ぶがまあ念願のスローライフは叶いそうである?
大変!第2回次世代ファンタジーカップのタグをつけたはずなのに、ついてないぞ……。あまりに衝撃すぎて倒れた……(;´Д`)もうだめだー
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
人喰い狼と、世界で最も美しい姫君
十五夜草
ファンタジー
森の奥深くには、かつて魔法使いと共に国を救ったが今は人喰い狼と恐れられる魔狼が住んでいた。
あるとき、魔狼は森の入口で赤ん坊を拾う。
周囲の人の気配はない。どうやら捨て子のようだ。
自分も昔は親から捨てられた身であった魔狼は悩んだ末、引き取り手のない赤ん坊を育てる事にした。
これは、親に捨てられた魔狼が、同じく親に捨てられた人間の少女を美しく育て上げるまでのお話。
※MAGNET MACROLINKとノベルアップで掲載していました。
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる