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28. レベルアップ? (R)甘々注意報
しおりを挟む「やっと落ち着けそうだね。」
久しぶりに帰ってきた我が家に入るとすぐに賢人さんがため息をつきながら言った。
「そうですね。」
私は賢人さんに笑顔を見せて返答した。
棚澤さんはあれからすぐに病室に来た警察官に任意で事情を聞きたいと言われて一緒に出ていきました。
暴れることも逃走することもなく大人しく出ていったのには拍子抜けと言うか…なんと言うか…。
まぁ…何もなくて良かったと思うしかないですね。
私は傷の治療が殆ど終わり通院で大丈夫そうだったのと、安全面から考えて自宅にいた方が良いと賢人さんに言われて今日病院を退院することになったのです。
「菫…お帰り。」
賢人さんが不意打ちで背中から私を抱きしめてきました。これは…勉強しましたわ。バックハグと言うものですね。
しかも菫と名前呼び…。
甘い空気が漂っています。
「本当に菫といると身体がいくつあってもたりないんじゃないかと思うくらい、色々な事が起こるよね。退屈しないと言えば聞こえが良いかもしれないけど…本心は寿命が縮んだよ。」
賢人さんが私の肩に額を乗せて抱きしめる手に力をいれている。
「…ごめんなさい。」
心配させてばかりで申し訳ないと思っています。
「謝ってほしい訳じゃないんだ。菫が悪い訳ではないしね。守ると言っておきながら菫を守ることができない自分に腹が立っているのかもしれない…。」
「賢人さん…。」
私は自分のお腹に回されている賢人さんの手の上に自分の手を重ねた。
「ありがとうございます。いつも私の事を気にしてくださって嬉しいです。でもそれで自分を責めないでください。私も悲しくなります…。」
私は身体の向きを賢人さんの方に向き直し、賢人さんの顔を両手で包んだ。
「大好きですよ、賢人さん。」
顔が真っ赤になって熱を持っているのが自分でもわかる。
「菫…。」
賢人さんの顔が近づく。
目の下に隈ができている。心配させたのね…。
優しく唇が触れる。
「今日は目を閉じないの?いつもは恥ずかしがってすぐに閉じるのに…。」
賢人さんがいたずらっ子みたいな笑顔を見せます。
「…もう。」
キュンキュンするってこういうことね。事実は小説より奇なりって本当ね。
賢人さんが何度も唇を重ねてくる。
「顔が蕩けてるよ…。可愛い。」
蕩けてる…?
賢人さんは唇から離れて顔や耳、顎、首筋に何度も口づけをし始めた。
「傷は痛くない?」
私の耳もとで囁くような声で聞いてくる。背筋がぞくぞくします。
「…大丈夫…です。」
賢人さんの口づけがどんどん下に下にとさがっていきます。もう立っていられません。
「おっと、足の力がぬけちゃった?」
賢人さんが私を倒さない様に支える。
「寝室に行こうか…。」
私は黙って頷いた。
「じっとしててね。」
そう言って私の額に口づけをした賢人さんは私をかかえ直してお姫様抱っこした。
「姫…運ばせてもらいます。手は私の首に回して下さいね。」
騎士なの?王子なの?
私は賢人さんの首に手を回したが恥ずかしくて顔を見ることができません。賢人さん…何か甘さがレベルアップしていませんか!?
この後大人しく寝室に運ばれましたが翌日の昼まで寝室から出ることはできませんでした。
賢人さん…体力もレベルアップしたの?
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