お嬢様は新婚につき誘惑はご遠慮します

25. 知らない訪問者

「え？本当ですか…。」

　やっと検査が終わり、病院のベッドで今の身体の状況とそして…驚くことを医師から知らされた。

「ええ、間違いありませんよ。検査の時に念のために調べましたからね。それにこんな事は今までなかったので念入りに調べましたからね。」

　優しそうな女医さんから聞かされたのは…。

「それは…賢人…いえ、主人は知っていますか？」

「いえ、まだお知らせしていません。本来ならすぐにお知らせするところですが…まあ、いろいろとありまして。」

　女医さんは言いにくそうに私から目をそらしていた。一体何があったのかしら？

「そうなんですね。あの…私が言うまで主人には言わないでもらえますか？」

　私の口から賢人さんに言いたい。

「わかりました。看護師達にも言っておきますね。」

　女医さんは看護師さんと一緒に部屋から出ていった。

　頭の中の整理が出来ません。どうしましょう…。

　賢人さん達が居なくて良かったかもしれません。

　賢人さんと家族達は深夜なのにあまりにも賑やかだったので看護師長さんに怒られて帰らされたらしいです。

　きっと朝一番にやって来ますよね。

　私の体調不良の原因がわかったのは嬉しいのですが、原因に驚きです。蕁麻疹ももしかしたら同じ原因かもしれないなんて…。

　賢人さんに何て伝えようかしら…。

　結局、考え事をしているうちに朝になってしまいました。もうそろそろ賢人さんがやって来るかもしれません…。

　やはりそのままを正直に伝えた方が良いわよね。

　…決めましたわ！そのまま伝えることにします。

　まるで私の気持ちが決まるのを待っていたかのように病室に向かってくる足音が聞こえてきました。

　賢人さんの様な気がします。

　足音が病室の前で止まりました。

　賢人さんが入ってくるだろうと病室の扉の方を見ていました。…が、入ってきたのは知らない男性でした。

「どなたでしょうか？」

　私が問いかけても何も言わず笑顔で近くに寄ってきます。何だか胸がざわざわとします。気持ち悪い。

　私のすぐ近くまでやってきた男性が私をじっと見つめています。

「面白い冗談のつもりかな？それとも、あの男にそう言えと言われたのかな。」

　あの男？誰のことかしら。

　あっ…。気持ちが悪いのが酷くなってきて、おまけに頭もズキズキと痛くなってきました。

　どうしてかしら、この人を見ていると気持ちが悪い…。

　その時、病室の扉が勢いよく開きました。

「菫ちゃん！大丈夫？！」

　入ってきたのは賢人さんでした。

「え…。何でお前がここにいるんだ？」

　賢人さんが戸惑っているのがわかります。賢人さんのお知り合いなのね。

　また頭がズキッと痛みます。

　いえ、この人を私は知っている…。

　そうだこの人は…。