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3. 甘い時間 (R)注意報です
しおりを挟む賢人さんの会社の同僚の方達が家に来られてから賢人さんの様子がおかしいです。何があったのでしょうか?
「菫ちゃん、今後この家に会社の者が用事だと言ってきても対応しなくて良いからね。居ないふりをして出ないで良いよ。」
賢人さんは私の両肩を痛いくらいがっしりと掴み話しています。まるで説得されているみたいな気がしますわ。
「会社で何かあったのですか?」
会社の人が来ても出てはいけないなんてただ事ではありませんわ。
「…以前来た奴らが菫ちゃんの事を会社の人達に話したんだ。そしたら…。」
そこまで言って黙りますか?続きが気になりすぎますわね。
「そしたら…どうしたのですか?」
賢人さんは言うのを迷っているのか下を向いて顔をあげません。
「皆が菫ちゃんに会いたいから家に来たいと言い出したんだ。」
私に会いたい?ですか。賢人さんの奥さんだからかしら?それともお料理を気に入って貰えたとか?
「菫ちゃん…分かってないよね。」
賢人さんが、ひきつった笑顔をしながら大きな溜め息を1つ大きくつきました。
「え?」
「いつの間にか菫ちゃんの写真を撮っていた…許されない奴がいてね、その写真を皆に見せてしまったらしい…。」
え?あの薄化粧の顔をですか。それは恥ずかしいです。どうにかその写真を消去していただけないでしょうか。でもその写真を見て私に会いたい?なぜ?
「何か違うポイントが気になっているでしょ。そんな感じだから心配なんだよね。」
そう言いながら賢人さんは私を抱き締めました。
「賢人さん?」
付き合っている時はあまり分かりませんでしたが、賢人さんは意外と心配症なのです。普段はとても優しくて頼りになる素敵な旦那様なのですけどね。
「菫ちゃん。天然な菫ちゃん素敵だけど、そのままでは誰か悪い大人に連れていかれそうで心配なんだよ。」
賢人さんが私を抱きしめてくれます。
確かに…私は世間知らずだとは自覚はしています。だけどそんなに心配されていたのですね。
「賢人さん…。」
私もそっと賢人さんの背中に腕を回しました。
「菫ちゃん…。」
さき程までの空気感とは違い甘い空気が2人を包んでいます。
賢人さんの唇の温度を額に感じます。
「僕以外の誰にも君に触れてほしくない。」
賢人さんの両手が私の頬を包み込みます。私もそっと賢人さんの手に自分の手を重ねました。2人の視線が重なります。
2人の唇が重なります。
離れたと思うと再び重なり…の繰り返しです。恋愛を賢人さんとしかしたことがない私は賢人さんのなすがままにいつもなってしまいます。
恥ずかしくて目を開けることも出来ず、ただ賢人さんがキスの合間に「菫…。」と囁く声を聞いて体温が上がるのだけを感じています。
もう足が…立っていられないかもしれません。息も絶え絶えになってきました。
「菫…そんな顔を他の人には見せてはいけないよ。」
そんな顔…私は今どんな顔をしているのでしょう。人様には見せられないような顔をしているのでしょうか。気になります。
ゆっくりと目蓋を上げて賢人さんを見つめました。
「賢人さん…。」
私はどんな顔をしているのかを賢人さんに聞こうと口を開けました…が…。
「誘っている?」
「え?…。」
離れたと思っていた賢人さんの唇が再び私の唇に重なりました。今度は先程よりも深く…。
いつの間にか私は賢人さんに抱き抱えられてベッドに寝かされていました。
前から思っていたのですが賢人さんの手際が良すぎませんか?
ボーとしている頭でそんな事を考えていましたが、それもすぐに考える事が出来なくなりました。
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